2020.06.19
環境にも体にも優しい選択肢。
「脱プラスチック」商品を買おう!
「わかる、えらぶ、エシカル」特集(3)

「エシカル消費」という言葉を知っていますか? エシカル消費とは、人や社会、環境に配慮した消費のことで、誰にでもできる社会貢献のアクションとして、注目されています。
本特集では、5カ月にわたりエシカル消費のおすすめ9テーマを解説していきます。第3回は、「脱プラスチック」について詳しく解説します!
脱プラスチックとは、「プラスチックの利用を減らす」こと

最近よく耳にするようになった「脱プラスチック」とは、その言葉の通り、プラスチックの利用をやめることを意味します。プラスチック製品やビニール袋の使用をやめること、プラスチック製品を代替素材の製品に切り替えることが、脱プラスチックの行動として挙げられます。
この背景には、深刻な海洋プラスチックごみ問題があります。
海洋プラスチックごみ問題とは
毎年800万トンものプラスチックが海に流れ込む(*1)ことで、地球環境にさまざまな負荷を与えているという問題です。2050年には海洋中のプラスチックが魚の重量を超えるという予測(*2)もあるほど、事態は深刻化しています。
海に住む魚や海鳥、アザラシや、ウミガメなどの生物は、こうしたプラスチックによって傷ついたり、命を落としたりしています。また、5ミリ以下に細分化された、いわゆる「マイクロプラスチック」を食べてしまう魚や鳥などへの影響、さらには、それらを食べる人体への影響も懸念されています。
こうした影響を減らすため、プラスチックの利用を減らすことが今、世界中で求められているのです。
一人ひとりが、プラスチックごみの問題解決に貢献できる

日本は世界的にみてもプラスチック大国。プラスチック包装容器の日本人一人あたりの使用量は米国に次ぐ世界第2位(*3)、プラスチック生産量は第3位(*4)といずれも上位を占めています。
一方で、プラスチック包装容器のほとんどが使い捨て利用を目的に作られており、リサイクル回収されるのは全世界で14%にとどまっています。
こうしたことを受け、一人ひとりのプラスチックの利用を減らすために、この7月からはスーパーやコンビニなどでプラスチック製レジ袋の有料化がスタートします(*5)。
私たち一人ひとりも、日々の生活の中で脱プラスチックを意識していくことで、プラスチック問題の解決に貢献できるのです。
脱プラスチックはなぜエシカル?
では、プラスチックの利用を減らすことは、どのような点がエシカルなのでしょうか?
(1)海洋プラスチックごみの問題解決に貢献
上でお伝えしたように、海洋プラスチックごみの問題が深刻ですが、プラスチックの利用を減らせば、こうした影響を軽減できます。
(2)温室効果ガスによる気候変動への影響を緩和
プラスチックの原料は石油です。プラスチック由来の温室効果ガス排出は、2014年の1%から2050年には最大で15%にまで増えると予測されています(*6)。プラスチックの利用を減らせば、温室効果ガスの削減にもつながります。
(3)生物に害のある化学物質の接触を減らす
プラスチックをつくる際には、用途に合わせてやわらかくしたり、硬くしたり、発泡させたりするため、生物に害があるとされるさまざまな化学物質が使われています。脱プラスチックは、こうした化学物質による健康への影響を減らせます。
つまり、脱プラスチックは環境にも私たちの体にも優しい、エシカルな行動だと言えます。
世界の脱プラスチックのアイデア
世界的な脱プラスチックの流れを受けて、世界中でさまざまな工夫をこらした脱プラスチックの商品やサービスが誕生しています。

数回かんで普段通り磨くだけのタブレットタイプの歯磨き。歯磨き粉が入っているプラスチックのチューブをなくすことができます。自然素材をベースとした原材料で、グルテン、乳製品フリーなので、小麦アレルギーやヴィーガンの方も安心して利用できます。

アメリカのマリブ市のある会社が販売しているのはなんと、パスタを使ったストロー。大きめの穴のパスタなのでストローにぴったり。廃棄されても早く分解される一方、耐水時間は3時間以上と強度にも優れています。

完全プラスチックフリーのカフェも登場しています。アイルランドのコーク大学内にある「Bio Green Café」は、一切使い捨てプラスチックを使用しない脱プラカフェ。店内での飲食はグラスか缶で提供され、テイクアウトは持参した容器、もしくは堆肥化可能な容器で提供されます。
「こんなプラスチック製品も脱プラできるんだ!」、「面白い脱プラ製品を取り入れてみたい!」と思えてきませんか?
脱プラスチック商品を選ぶポイント

「脱プラスチック商品」を選ぶポイントをお伝えします。まずは、使用されている素材について。
(1)代替素材が使われている商品を選ぶ
すぐに取り組めるのは、分かりやすい代替素材が使われている商品を選ぶことです。プラスチックの代わりには、ガラスやセラミック、木や紙、コルク、ステンレスや鉄、チタンアルミなどが使われます。ただ、代替素材であっても環境負荷が高いものはあるので、長く使用できるか、過度な開発でかえって環境負荷がかかっていないか、などの配慮も必要です。
(2)見た目で判断できないものは表示を確認する
商品の中には、木目調で天然素材のように見えるけれど実はプラスチック製のものなど、見た目では判断できないものがあります。このように見た目で分からないものは、製品の素材表記で確認してみましょう。プラスチックは種類が多いので、日本プラスチック工業連盟の「主なプラスチックの特性と種類」(外部サイト)などを参考にしてみてください。
次に、どんな商品を選べばいいかについて、ポイントをお伝えします。
(3)衣類などの繊維製品は、天然繊維のものを選ぶ
衣類にプラスチック? と思われるかもしれませんが、繊維生産の約6割は、石油からつくられるポリエステルやアクリル、ナイロンといった合成繊維(*7)、つまり繊維状のプラスチックが占めています。これらを洗濯すると、細かいマイクロファイバーが水に流れ出してしまいます。繊維製品は、できる限り綿や絹、麻といった天然繊維のものを選びましょう。
(4)化粧品は、マイクロビーズが使われていないものを選ぶ
化粧品には、容器以外でもプラスチックが使われていることがあります。マイクロビーズと呼ばれる、目に見えない位小さい球状のプラスチックで、洗顔料や歯磨き粉のスクラブ、口紅やアイブロウの伸びをよくするものとして使われています。とても細かいので、下水処理場施設を通過し、毎年何百万トンも海に流れ込んでいます。購入する際は、マイクロビーズが使われていないものを選びましょう。
ありとあらゆるものがプラスチックでつくられている現代において、完全な脱プラスチックは難しいもの。
まずは「レスプラ(Less plastic)」、つまりできそうなところからはじめて、少しずつプラスチックを減らしていくのが長続きするコツです。
エールマーケットのオススメ脱プラスチック商品3選
最後に、エールマーケットで買えるオススメの脱プラスチック商品をご紹介します!
プラスチック製の食品用ラップの代替品としておすすめなのがこちら。フェアトレードのオーガニックコットンに岐阜県産のみつろう、オーガニックホホバオイル、藍や茜など植物由来の天然樹脂を染み込ませてつくったラップです。野菜やサンドイッチを包んだり、残り物のお皿にフタをしたりと大活躍してくれるアイテムです。
100%天然の竹で作られた、プラスチックフリーの歯ブラシです。全てが生分解性素材で作られていて、マイクロプラスチックの原因素材は勿論、BPA、着色料、接着剤など有害物質は一切含まれていません。歯ブラシとしての機能にもこだわり、ブラシ部分には活性炭を注入。形状も磨きやすいように工夫されています。
暑くなるこれからの時期。飲み物をテイクアウトすると必ずついてくるのがプラスチック製のストロー。最近は紙製のストローで提供する店も増えてきましたが、まだまだプラスチックを使うお店は多くあります。でもこの純チタン製ストローがあれば大丈夫。繰り返し使うことができ、ごみの発生を防ぐだけでなく、マドラーとして使うこともできます。
次回は「フェアトレード」について解説します! お楽しみに!
*1 Neufeld, L.,et al.(2016)
*2 The New Plastics Economy: Rethinking the future of plastics (2016.Jan. World Economic Forum)
*3 UNEP “SINGLE-USE PLASTICS”(2018)
*4 熱可塑性プラスチック及びポリウレタンの素材生産量、Plastics Europe(2017)
*5 経済産業省ウェブサイト(外部リンク)。厚手のものや生分解性のもの、バイオマス由来のものは対象外です。
*6 THE NEW PLASTICS ECONOMY, EllenMacArthurFoundation(外部リンク)
*7 世界の主要繊維の生産(日本化学繊維協会推定 2017)
記事提供
IDEAS FOR GOOD(外部サイト)

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