2020.07.21
人にも自然にも優しい。
「オーガニック」商品を買おう!
「わかる、えらぶ、エシカル」特集(5)

「エシカル消費」という言葉を知っていますか? エシカル消費とは、人や社会、環境に配慮した消費のことで、誰にでもできる社会貢献のアクションとして注目されています。
本特集では、5カ月にわたり、エシカル消費のおすすめ9テーマを解説していきます。第5回は、「オーガニック」について詳しく解説します!
オーガニックとは、「自然の力を大切に生産されたもの」

オーガニック野菜にオーガニックワイン、オーガニックコスメにオーガニックコットン。オーガニックという言葉を見聞きする機会はかなり増えました。2019年に発表された日本のオーガニック食品の市場規模は、推計で1,850億円(*1)。2009年から142%と大幅に拡大しています。
オーガニックは日本語で「有機の」という意味で、化学合成された農薬や殺虫剤、肥料や添加物などに頼らず、自然の力を大切にして生産されたもの、またそれらを使って加工されたものを意味します。
この他にも、遺伝子組み換えの不使用やアニマルウェルフェア(動物の福祉)、児童労働の禁止や経済格差の解消など「社会的公正」といった要素を含む場合もあります。対象となる商品の幅も広く、農産物や畜産物、それらの加工品、化粧品や養殖魚などにも使われています。
日本では、農産物、加工食品、飼料を対象にした「有機JAS認証」があり、認証を得ていない場合は原則、「有機」「オーガニック」と表示することは禁止されています。2020年の7月からは、牛肉や卵、それらを使った加工品(ハム、チーズ、チョコレート)など畜産食品を対象とした認証もスタートするなど、日本のオーガニック市場は大きく進展しそうです(*2)。
オーガニックはなぜエシカル?
では、オーガニック商品を選ぶことはなぜエシカルなのでしょうか。
(1)食べる人、使う人、つくる人の健康を守る
はっきりとわかっていないことも多くありますが、化学物質が体内に蓄積した場合、人体に影響を及ぼす可能性があります。農薬や添加物など、化学物質の使用により、農作物の生産者の方が健康被害を受けてしまうだけでなく、化学物質を使用して育てられたものを食べるわたしたち自身の体にも影響が起こりかねません。オーガニック商品を選ぶことで、体内に入る化学物質の種類や量を減らすことができます。オーガニック商品は食べる人、使う人だけではなく、つくる人の健康を守ることにもつながるのです。
(2)健全な土を守る
土の中には、ミミズなどの生物、カビや細菌などの微生物が1gあたり100万~1000万もいると言われています(*3)。彼らは、落ち葉や動物の糞尿を分解し、植物に必要な栄養素をつくりだすなど重要な役割を担っています。
しかし、化学合成された農薬が使われると、これらの生物は死んでしまいます。その結果、植物は必要な養分をとることができなくなり、病気に弱くなり、ますます農薬や肥料が必要な状態に陥ってしまいます。オーガニック商品を選べば、土の中にいる生物や、健全な土を守ることにつながります。
つまり、オーガニック商品を選ぶことは、自分自身だけでなく、生産者や土地の健康を守ることにつながるのです。
世界のオーガニック商品
世界ではさまざまなオーガニック商品が生まれています。通常の商品と比べると少し値段が高い場合も多いですが、気軽に手に取りやすいサービスも登場しています。

オーガニック繊維製品の国際認証であるGOTS認証を受けたコットンのみを使った、子ども服ブランド。成長して着られなくなった服を返却すると、次の服を購入する際に20%以上の割引が受けられる仕組みを導入しています。返却された服は再販されるため、衣料ごみも減らせます。

近年、日焼け止めに使われる化学物質がサンゴ礁の死滅や白化、魚の代謝に悪影響を及ぼすことが指摘されています。毎年、海に堆積する日焼け止めの量はなんと推定14,000トン。この日焼け止めは、天然の日焼け止めと呼ばれる植物成分などを使用し、海を守りながら人の肌も守ります。

ナッツ、チョコレート、フルーツ、野菜、紅茶、コーヒー、調味料、パスタ、お米、豆、オイル、せっけんなど約350種類のオーガニック商品を取り扱う、デンマークの量り売りストア。量り売りであれば必要な分だけ買うことができ、コストが抑えられます。試し買いができるのも魅力です。
「食品だけではなくて、さまざまなオーガニック商品が生まれているんだ!」、「気軽に取り入れる方法もあるなら試してみたい!」という気持ちになってきませんか?
オーガニック商品を選ぶポイント

オーガニック商品は、認証ラベルを頼りに選ぶことができます。ここでは、オーガニック商品に関する代表的な認証ラベルをご紹介します。
(1)農産物、畜産物、それらの加工品、飼料の認証ラベル

冒頭でもお伝えしたように、日本では現在、農産物とその加工品、飼料、畜産物とその加工品(2020年7月から)を対象にした有機JAS認証があります。この認証規格を満たしたものには、左のようなラベルが表示されています。
認証を得るには、農産物の場合、種まき又は植え付けする2年以上前からほ場(畑)の土に禁止された農薬や化学肥料を使用していないこと、遺伝子組換えの種を使わないことなど厳しい基準があります。畜産の場合は、飼料は有機であること、放牧など家畜がストレスを感じない環境で飼育すること、抗生物質などを予防目的で使用しないことなどが定められています。
(2)化粧品の認証ラベル

化粧品やコットンは有機JASの対象でないため、事業者が独自の基準を設けて表示をしたり、海外の認証を取得して表示したりしています。
たとえば、植物性原材料はできる限り有機栽培のもの、もしくは野生のものを使用するように求める世界初のナチュラルコスメガイドライン「BDIH」、製品に配合されている植物・動物由来の自然物質、及び準自然物質を生成するために用いられた自然物質の少なくとも95%がオーガニック(有機栽培および/または野生採集)であることを求める「NATRUE」、オーガニックコスメ認証の世界シェア75%を占める「ECOCERT」などがあります。
(3)コットンの認証ラベル

コットンの場合は、GOTS(Global Organic Textile Standard)とOCS(Organic Content Standard)の二つの認証があります。2~3年以上、オーガニック農法の基準に基づく農産物の実践を経た農地で、農薬や肥料などの基準に基づいて栽培されたものを対象に第三者機関が検査を行い、認証を受けます。
GOTSは生産から販売までを対象にしており、70~95%以上が認証されたオーガニック繊維を使用していること、遺伝子組み換えの不使用、労働者の搾取・児童労働の禁止なども定めています。OCSは食品以外のすべてのオーガニック製品に適用され、5~100%のオーガニック原料の使用などが求められます。
(4)認証ラベル以外の選び方
日本では有機JASを取得していなければ、「有機」「オーガニック」といった表示はできません。そのため、有機JASを取得していない事業者が、「農薬:栽培期間中不使用」と表示することで、農薬を使用していないことを示すことがあります。
また近年は、化学合成された農薬や肥料を削減する取り組みが進み、さまざまな表現や独自の認証も見られます。それぞれの基準を調べてみると、自分なりの判断基準が持てるようになります。
次回は「認証商品」について解説します。お楽しみに!
記事提供
IDEAS FOR GOOD(外部サイト)

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