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「いつもの道具」にこだわる
新しい生活様式で見直された本当にいい包丁

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「いつもの道具」にこだわる<br>新しい生活様式で見直された本当にいい包丁の写真

あなたは普段、どんな包丁を使っていますか?

「なんとなく買ったものをずっと使っている」、「前にいつ研いだか覚えていない」という人も多いのではないでしょうか。

「料理の味に一家言ある人の多くが、包丁にもこだわりを持っています」と話してくれたのは、新潟県三条市にある包丁メーカー・タダフサの番頭・大澤 真輝(おおさわ なおき)さん。

特に、新型コロナウイルスの流行によって在宅時間が増えた今、いつも使っている包丁を見直し、「こだわりのある切れ味のいい包丁」に買い換えようとする動きが増えているといいます。

その一方で、江戸時代から続く“鍛治のまち”新潟県の県央・燕三条地域の「ものづくり企業」は、新型コロナウイルスの影響を受け、存続の危機にあるといいます。

今回は、タダフサの番頭・大澤さんに、包丁づくりのこだわりや上手な手入れの仕方、“withコロナ”時代におけるものづくりの在り方についてお聞きしました。

30年切れ味を保つ、鋼を使った包丁へのこだわり

取引先とのやりとりやSNSでの発信など、「番頭」の役割は幅広いという

取引先とのやりとりやSNSでの発信など、「番頭」の役割は幅広いという

大量生産しやすいオールステンレスの包丁の人気が高まっている中、タダフサでは鋼(はがね)を使った昔ながらの製造方法にこだわっています。

「近年ではさびにくいというメリットがあるオールステンレス包丁の人気が高いのですが、一方で切れ味が落ちてきた時に自分で研ぎ直すことが難しいというデメリットがあります。タダフサでは切れ味よく、長くお使いいただくために、刃には鋼を使うことにこだわっています。

材料となる鋼材の組織を強くするためにハンマーでたたく「鍛造(たんぞう)」から、鋼に刃物としての生命を吹き込む「焼入れ」、鋭い切れ味を生み出すために何度も繰り返す「研磨作業」まで、職人の目で一つひとつ確認しながら作業をしています」

鋼の包丁はステンレスよりもさびやすいものの、自分で簡単にさびを落とすことができ、研ぎ直しもしやすい特徴があるそうです。

「耐用年数は包丁の種類や材質、作り方によって異なるのですが、きちんとした材料で作られたものを、研ぎ直しなどのメンテナンスをしながら丁寧に使っていけば、20年から30年は切れ味を保ったまま使っていただくことができるはずです。切れ味にこだわりたい方や、“本当に良いもの”を使いたい方に鋼の包丁はとても人気がありますね」

包丁を作っているところ

(写真:太田拓実)

30年も使い続けられるとは驚きですが、鋼を使った包丁はどのような点で優れているのでしょうか。

「包丁の寿命は、刃に挟まれている鋼の幅によって変わります。鉛筆に例えると、鉛筆の芯の部分に当たるのが鋼です。鋼の部分を研ぐことで切れ味が出るのですが、何十年も研いで鋼が少なくなると包丁は寿命を迎えます」

タダフサの商品でも人気のSLD鋼シリーズは、さびにくく切れ味の良い『日立SLD鋼』とステンレスの特徴を組み合わせて作られています。

鉛筆の芯にあたる“切刃“に『日立SLD鋼』という、鋼のなかではさびにくく切れ味のいい鋼を使っています。そして、“母材”という鉛筆の木にあたる部分にはステンレスを使って、“切り刃”をしっかりと支えています。調理の際に“切刃”にかかる衝撃や圧力を“母材”が支えることで、鋭い刃先でもしっかりと強度のある包丁に仕上がるんです。切れ味がよく、お手入れも難しくない包丁は、暮らしの中で使い続けやすいと思いますよ」

包丁

さらに、包丁の柄の部分の素材やデザイン性にもこだわりが。

「天然の栗の木を燻製加工した『抗菌炭化木』を、柄の部分に使っています。なめらかな触り心地で手の馴染みがいいだけでなく、加工の過程で水分や養分を抜いた素材は腐りにくく、菌が繁殖しづらいんです。この素材は特許も取得しています」

包丁を長く使い続けるために知っておきたいこと

包丁の展示

(写真:太田拓実)

「良い包丁を長く使い続けるためには、基本的な手入れがとても大切だ」と大澤さんは話します。

「大切なのは、『使ったら拭く』ということです。例えばお寿司(すし)屋さんでは、職人さんが包丁を使うたびに布で拭いていますよね。あのイメージで、おうちでも使ったらすぐに洗って、水気を拭き取って乾燥させてください。

ただ、気をつけていてもさびが出てしまうことはあります。大事なのはあまり神経質になり過ぎず、さびたらその都度対処することです。スポンジやワインのコルク栓に、100円ショップに売っているようなクレンザーを付けてこすれば、さびは簡単に取れるので長く楽しくお使いいただけると思います」

また、包丁の研ぎ直しについても「難しく考える必要はない」と大澤さんは言います。

「よくお客さまに『シャープナーを使ってもいいの?』とご質問をいただくのですが、もちろん大丈夫です。ただ、シャープナーは鉛筆でいうところの芯の部分だけをとがらせるためのものなんです。ですので、1年に1回は、砥石(といし)でしっかりと母材の部分から研いであげると新品同様の切れ味が戻ります。これはご自分で研いでもいいですし、難しければご近所の研ぎ屋さんに持ち込むといいですよ」

包丁を研ぐ
包丁を研ぐ

タダフサでは研ぎ直しだけでなく、ボロボロになってしまった包丁の修理やリフォームも行っている

「1カ月~3カ月に1回くらい研ぎ直すのが理想的ですが、時間的、予算的なバランスに合わせてメンテナンスしていただければ十分です。弊社でも研ぎ直しサービス(外部サイト)を行っているので、シャープナーなどと併用しつつ包丁の定期検診として1年に1回くらいご相談いただければと思います。」

包丁の切れ味が良くなると、食材の皮を薄く剥いたり、細かく切ったりできるようになるので、食材を無駄なく使うことにもつながります。

「新潟にあるミシュランの星付きレストランのシェフや、料理教室の先生など、料理の上手な方が多く使ってくださっています。料理にこだわる人は道具にもこだわるという面があるのではないでしょうか」

新しい生活様式に寄り添う伝統のものづくり

タダフサ

(写真:太田拓実)

タダフサのある新潟県三条市は、古くから“鍛治の町・三条”と呼ばれるほど金物産業が盛んな地域。ものづくりの歴史は江戸時代中期から現代まで400年以上も続いています。

タダフサでは伝統技術による職人の手仕事の素晴らしさを伝えるため、お客さまに工場を開放し、包丁を作る工程を見学してもらう取り組みを行ってきました。

しかし、新型コロナウイルスの影響によって工場の見学は休止しており、工場に隣接するファクトリーショップの売上も落ち込んでいます。百貨店や専門店などが営業できなくなってしまったことで、商品の流れが止まってしまった時期もありました。

「三条市やお隣の燕市にあるものづくり企業の多くが大きな打撃を受けており、長期間の休業に追い込まれている工場もあります」

過去に行われた工場の祭典の様子

(過去に行われた「燕三条 工場の祭典」の様子/写真提供:庖丁工房タダフサ)

三条市は、隣接する燕市と合同で毎年「燕三条 工場の祭典」という、ものづくり企業の工場を一般開放するイベントを開催してきました。

4日間の開催期間で数万人の来場者が訪れる人気のイベントでしたが、2020年は「燕三条 動画と配信(外部サイト)」としてオンラインでの開催となりました。毎年この時期はインバウンド需要が見込まれていたものの、海外からの観光客も今はほぼゼロの状態です。

一方で、コロナの影響に関しては、明るい傾向もありました。タダフサでは、オンラインからの国内外注文が大幅に増えているのです。

「なかでも、出刃包丁の注文が多かったんです。外出自粛をする中で、料理をする機会が増えたり、『時間があるから魚をさばいてみよう』という需要が増えたりしたのかもしれませんね。また、海外の包丁専門店が包丁の研ぎ方を紹介する動画を繰り返し発信しているためか、海外への輸出量が増加しています。オンラインサイトを整えたことも追い風になったようです」

燕三条のWEBサイト

また、燕三条では新たな取り組みをスタートした企業もあるそうです。

「燕三条地域の若手社長さんたちが共同で、新しい会社を今年3月末に立ち上げました。『作りたいものがある』人の相談を受けて、地域の技術力のある企業と連携して、アイデアを実現するという会社です。

すでに、マスクケースや飛沫(ひまつ)感染防止のパーティションなどが商品化されています。“アイデアを実現できるまち”として、燕三条地域全体に興味を持っていただければうれしいです」

“withコロナ”といわれるこれからの時代は、外に出て新しいものに触れたり、発見したりする楽しみが制限される傾向にあります。しかし「こんな時代だからこそ、家の中や身近な暮らしを楽しむ方法を見つけてほしい」と大澤さんは言います。

「いつも使う身近な道具を見直したり、深く調べたりすることで、新しい発見や楽しみがあることを知っていただきたいですね。包丁を新しいものにするだけでなく、今ある包丁を研ぎ直すだけでも使い心地が変わりますから。身の回りの道具には、いろんな可能性があることを知ってもらえたらなによりです」


タダフサの商品はこちら

タダフサ 三徳包丁 165mm

「万能/三徳庖丁」は、ご家庭で使用する機会の一番多い庖丁です。オールステンレスの包丁に比べ、鋭い切れ味をお楽しみいただける分、普段の手入れに少々注意が必要となります。心地よい切れ味とともに、お手入れや研ぎ直しもあわせてお楽しみください。

編集

株式会社 Huuuu(外部サイト)

Huuuuはローカル、インターネット、カルチャーに強い会社です。ライター・編集者を中心に、全国のクリエイター、生産者、職人、地方行政と関係を築いています。わかりやすい言葉や価値観に依存せず「わからない=好奇心」を大切に、コンテンツ制作から場づくりまで、総合的な編集力を武器に全国47都道府県を行脚中。


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どこにでもあるものより、なかなかないもの。
太陽の香りがしたり、人の手の温度を感じる。
大事に生まれたものは、大事にしたくなるものです。
そうだ。こだわりは、ごちそうなんだと思う。
もっと知ってほしいもの、あなたに届けたいもの、見つけました。
好きって、エールなのかもしれません。