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エルマの読みもの

台風19号の影響とは?
長野県上田市のリンゴを訪ねて

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台風19号の影響とは?<br>長野県上田市のリンゴを訪ねての写真

令和元年10月の台風19号。日本を直撃したこの大きな台風は広大な地域に多大な影響を与えました。


収穫の秋の時期に直撃という最悪なタイミングだったので、農作物に与えた影響は計り知れません。その影響はどうだったのでしょうか?


1114日、長野県上田市を訪ねたレポートを皆さんにご紹介します。

台風の被害を受けやすかった「ふじ」

さて上田市といえば、数年前の大河で取り上げられた真田幸村でおなじみの町です。天候はお天気雨、駅前のロータリーの風はほんのり冷たく、遠くの山脈は黄色く色づき始め、秋の深まりを感じます。

まず訪れたのはJA信州うえだ川東農産物総合出荷場。リンゴの選果場などがあります。

出迎えてくださったのは、職員の古平さん。

台風19号の影響について伺うと、千曲川の氾濫で中野市をはじめとするいくつかの地域が浸水し、家屋だけでなく、農産物にも被害が発生し、水害を免れた地域にも暴風による被害が発生したとのことでした。
そして話は、災害を受けた果物、いわゆる災害果の話へ。

台風の影響を受けてしまったリンゴの品種とは何なのでしょうか?

「ふじっていうのは天候災害の影響を受けやすいんですよ。」と古平さん。

リンゴの代表的な品種「ふじ」。この品種は春に花をつけ、その後、実が育ち、11月中頃から12月初旬にピークを迎え、収穫できるという晩成型。一般的に、栽培期間が長い品種はそれだけ災害の影響を受けるリスクが高いようです。

また、今年の「ふじ」の生育は、春の霜や、お盆の頃の天候不良、降雨量の少なさなどで、やや小さめの生育予想があり、収穫が1割程度減の見込みだったそうです。

しかしその後、さらなる不運が襲いました。

そう、台風19号です。この台風は例年よりも規模が大きく速度も遅かったのです!

いつもなら数時間耐えればやりすごせるはずが、今回は大規模でかつ遅い台風。長時間の暴風で、リンゴは落下したり、枝などにぶつかり、こすれ、傷つき、多くの災害果が発生しまいました。

「最近上陸する台風は来る時期も遅く、規模が大きいので、災害果も出やすい「ふじ」から「あきばえ」や「しなのリップ」など早生、中生種への品種転換も起こっています。」と古平さん。

リスク回避のためのリスク分散されている農家も出てきており、そのためか、台風で被害を受けたのは収穫の遅い品種だけでリンゴ全体が壊滅的というわけではないようです。

とはいえリンゴは「ふじ」のイメージが強く、市場の需要や要望は高いため、リンゴ農家は努力しているとのことでした。

いよいよ畑へ、変わらぬおいしさ!

さて、出荷場の後に、案内されたのは近くのリンゴ畑です。木には、「ふじ」がたわわに実っています。

リンゴの赤と樹木の緑がまじりあい、とても美しく見えます。確かに落果しているものは見受けられますが、枝にあるものはざっと見ている限りは問題なく見えました。

「こういう感じでキズが付くんですよ。」

古平さんの示すリンゴをよく見ると、へこみやすり傷などが! 暴風で果皮に何かがぶつかった形跡がみえます。注意してみて、やっと傷ついたリンゴが多いことに気づきました。

皮が切れて果実が見えているものもありましたが、これほどだと出荷できないようです。

「キズがついていて加工用になるものですが、一つ食べてみませんか?」

古平さんに切っていただき、食べてみると、酸味と甘みが絶妙で果汁がジュワッと広がります!

みずみずしく、とってもおいしく感じました。びっくりすることに、これから味はさらに良くなっていくそうです。

本当に、ただ見た目に少し問題あるだけなのです。

台風って本当に悪者?

「一方で、台風は自然の猛威ですが、なくてはならない存在なのです。また、夏はしっかりと暑くなり、秋はしっかり冷えてくることが大切なのです。もっとも、こう毎回強い台風が来られるとこまりますが」と古平さん。

台風がよく来る時期といえば9月ごろ、この地域は降雨量が少なく、台風が水を運んできます。水がなければ、植物は育ちません。

この貴重な水が供給されるのです。台風は悪いイメージを持たれがちですが、なくてはならない存在であることを改めて思い知らされました。

自然との共存、どうしても発生する災害果

いかがでしたか?

自然と共存し、対話し、その中から恵みを分けていただく。

自然と、農家の方々、私たち消費者の関係を考えたとき、そのやりとりの最前線に農家の方々はおられます。

いわば自然と消費者をつなげる窓口のような役割を持たれているようにも感じました。

避けることのできない災害に対し一生懸命な農家の方々を前に、私たち消費者ができることはいったい何なのでしょうか?

確かに一般に並んでいる農産物はきれいなものが多く、また、自然に形の悪いものよりもきれいなものをえらんでしまいます。こればっかりは仕方ないし無理もないことです。そのため、形がよくて味がよいものが高価値なのも理解できるところです。

しかし、本当にそれでいいのか?

そこでふと立ち止まって考えてみるということも大切なのかもしれません。

どこにでもあるものより、なかなかないもの。
太陽の香りがしたり、人の手の温度を感じる。
大事に生まれたものは、大事にしたくなるものです。
そうだ。こだわりは、ごちそうなんだと思う。
もっと知ってほしいもの、あなたに届けたいもの、見つけました。
好きって、エールなのかもしれません。