2019.10.24
奈良県で人口最少の市で生まれた「すっぴん美人」な日本酒を巡る旅

「風の森」という日本酒を皆さんはご存じでしょうか?
まるで小説の一節を思わせるような美しい名前、これは奈良県御所市に実在する、風の森峠に由来します。奈良県から和歌山県へ流れる紀の川に沿って上ってきた風が、金剛山を巻き、この地に吹くと言われています。
さて今回は、そんな美しい名前をもった日本酒を生み出している酒蔵とその周辺の魅力あふれる町並みを巡る旅に皆さんをお連れします。
風の森を醸(かも)すこだわりの酒蔵「油長酒造」

今回訪れたのは、この地に蔵を置き、風の森という日本酒のシリーズを醸造している油長酒造。
創業は享保4年(1719年)という長い歴史をもつ酒蔵です。僕が訪れると、代表の山本嘉彦氏が優しく迎え入れて下さいました。
この風の森を飲んだ人は思わず、「ラムネみたい!」と声を上げます。しゅわしゅわ感があり、爽やかな風を思わせる味わいで、甘みがあるのが特徴です。
僕もさっそく味わってみました。確実に想像していた日本酒とは違います。
風の森を醸(かも)す油長酒造は、搾りたてでフレッシュな味わいの日本酒を楽しんでもらいたいと、搾りたての日本酒をそのまま瓶に詰める無濾過(ろか)無加水生酒にこだわっています。無濾過(ろか)無加水生酒とは、簡単に説明すると、搾りたての日本酒を”そのまま”瓶に詰めること。例えると、お化粧をしない「すっぴん」に近いかもしれません。
創業は享保4年(1719年)という長い歴史をもつ酒蔵です。僕が訪れると、代表の山本嘉彦氏が優しく迎え入れて下さいました。
この風の森を飲んだ人は思わず、「ラムネみたい!」と声を上げます。しゅわしゅわ感があり、爽やかな風を思わせる味わいで、甘みがあるのが特徴です。
僕もさっそく味わってみました。確実に想像していた日本酒とは違います。
風の森を醸(かも)す油長酒造は、搾りたてでフレッシュな味わいの日本酒を楽しんでもらいたいと、搾りたての日本酒をそのまま瓶に詰める無濾過(ろか)無加水生酒にこだわっています。無濾過(ろか)無加水生酒とは、簡単に説明すると、搾りたての日本酒を”そのまま”瓶に詰めること。例えると、お化粧をしない「すっぴん」に近いかもしれません。
無濾過(ろか)で無加水生酒へのこだわり

本来の日本酒は、色や雑味を吸収するために活性炭素を入れる「濾過(ろか)」、アルコール度数を調整するために水を加える「加水」、そして、品質を安定させておいしく飲める期間を長くするために行う「火入れ」という作業を行います。スキンケアからベースメークまでをばっちりほどこした、いわゆる「お化粧」をしています。
しかしこうすることで、品質が安定し長持ちする半面、しゅわしゅわ感やとろみが失われてしまいます。
油長酒造では20年以上、搾りたての生の日本酒にこだわり続け、さまざまな研究を行ってきました。 そして、生の日本酒の中でも品質を安定させ、より空気に触れない(酸化させない)独自の酒造りを行っています。風の森は、まさに徹底したスキンケアをした「最高のすっぴん美人」とでもいうべき日本酒です。
しかしこうすることで、品質が安定し長持ちする半面、しゅわしゅわ感やとろみが失われてしまいます。
油長酒造では20年以上、搾りたての生の日本酒にこだわり続け、さまざまな研究を行ってきました。 そして、生の日本酒の中でも品質を安定させ、より空気に触れない(酸化させない)独自の酒造りを行っています。風の森は、まさに徹底したスキンケアをした「最高のすっぴん美人」とでもいうべき日本酒です。
古い時代の面影を残す町と幻想的な雰囲気が漂う金剛葛城山

油長酒造が位置する、奈良県御所市は奈良県内で一番人口が少ない市であまり多くの人に知られていません。この町の魅力は、古くからの歴史が根付いていることがあげられます。
かつて、製薬業や精油業などの商売で繁栄した江戸時代の町並みや、伝統的な家屋を今でも多く残しており、町なかを歩くと江戸時代にタイムスリップしたかのような雰囲気があります。
かつて、製薬業や精油業などの商売で繁栄した江戸時代の町並みや、伝統的な家屋を今でも多く残しており、町なかを歩くと江戸時代にタイムスリップしたかのような雰囲気があります。

この市の西側にある葛城山の麓には、下鴨神社や上賀茂神社などの、全国の「カモ」神社の総本社である高鴨神社があります。ここは日本酒の関係が深く、弥生時代中期より優れた水稲技術をもっていたといわれる鴨族の守護神がまつられています。
また、神社の敷地内では準絶滅危惧種にも指定されている、日本さくら草の栽培が行われており、4月、5月の開花時期には多くの花見客でにぎわいを見せます。
また、神社の敷地内では準絶滅危惧種にも指定されている、日本さくら草の栽培が行われており、4月、5月の開花時期には多くの花見客でにぎわいを見せます。
雰囲気のある名物の鴨汁そばと日本酒で一休み

高鴨神社に隣接している「そば小舎」は、鴨汁そばが名物です。つけ麺仕立てのそばは、太打ちの色黒田舎そばで、だしには葛城山麓の合鴨の棚田から仕入れた鴨肉を使用しており、鴨肉のうまみが活きています。
訪れた方は鴨汁そばと、風の森のシリーズの定番「秋津穂65」という日本酒をあわせてみることをおすすめします。鴨汁そばの濃厚で味わい深いだしにこの日本酒の甘みととろみが相乗し、なんとも言えない味わいとなります。
店内の窓から、高鴨神社の朱塗りの柵と御池を眺めながら食事ができるのも魅力的の一つです。
訪れた方は鴨汁そばと、風の森のシリーズの定番「秋津穂65」という日本酒をあわせてみることをおすすめします。鴨汁そばの濃厚で味わい深いだしにこの日本酒の甘みととろみが相乗し、なんとも言えない味わいとなります。
店内の窓から、高鴨神社の朱塗りの柵と御池を眺めながら食事ができるのも魅力的の一つです。

酒造と、その周辺の魅力あふれる文化を巡る旅はいかがでしたか。 この秋には奈良県御所市を訪れ、おいしい日本酒とそばを食べ、ちょっと小粋な江戸時代へタイムスリップしてみてはいかがでしょうか。
※お酒は20歳を過ぎてから。飲酒運転は法律で禁じられています。

※お酒は20歳を過ぎてから。飲酒運転は法律で禁じられています。
この記事で紹介したお酒の紹介です
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筆者紹介
日本酒x旅人 宍戸 涼太郎さん

日本酒の奥深さに魅せられ、全国の日本酒の酒蔵を巡り歩き、魅力を伝えています。大学在学中の2017年に屋外での立ち呑みイベントを実施する団体としてSake Baseを立ち上げ、その後、小売や立ち呑みができるSake Base日本酒の専門店を開店。2019年2月からwebメディアを開始しました。今後も、日本酒の魅力を伝えていく為にSake Base株式会社は奔走し突き進んでいきます。
https://sakebase.jp/(外部リンク)
どこにでもあるものより、なかなかないもの。
太陽の香りがしたり、人の手の温度を感じる。
大事に生まれたものは、大事にしたくなるものです。
そうだ。こだわりは、ごちそうなんだと思う。
もっと知ってほしいもの、あなたに届けたいもの、見つけました。
好きって、エールなのかもしれません。
