2019.12.02
蔵人の見学ツアーが楽しい酒蔵と朝ドラの舞台、陶芸の郷「信楽」を訪ねて

日本で一番大きな湖として有名な琵琶湖をもつ滋賀県。その南東に位置する甲賀市。
甲賀市といえば忍者で有名ですが、NHK朝ドラ「スカーレット」でもおなじみの信楽焼が最近注目を集めています。
さて今回は、そんな街にある酒蔵と、その周辺の歴史や文化を巡る旅に皆さんをお連れします。
高まるワクワク感と新たな発見! 蔵人の酒蔵見学ツアー

江戸時代に交通の要所として栄えた、東海道水口宿の街道沿いに蔵があります。
また、この辺りは、鈴鹿山系を水源とする、琵琶湖に注ぎ込む最大の河川、野洲川が横断しており、豊富な伏流水が流れています。

一般のお客様にも日本酒をより身近に感じてもらいたいとの想いから、蔵人による酒蔵見学を行われています。
歴史を感じる土壁の蔵に一歩入ると、鼻をくすぐるのは、ふわっとしたお酒の良い香り!
その芳醇な香りから、造られている日本酒はさぞかしと想像が膨らみます。
他には、発酵タンクの見学や、酒造りの道具や資料などを見ることができます。案内をしてくれる蔵人の解説もわかりやすく、見学コースを進むにつれて期待感はどんどん醸(かも)され高まっていくのを感じます。

また、ここでぜひおさえておきたい大人気スイーツがあります。
それは、甘酒ソフトクリームです。
滋賀のブランド米「みずかがみ」で作った甘酒が使用されており、ふわっと香るフルーティーな吟醸香とミルキーな甘さが見事にマッチしており絶品です。
ソフトクリームのカウンターには塩が置いてあり、これを少し振って食べると甘さが引き立ちます。
日本酒が飲める人はもちろんのこと、日本酒に興味のない人でも酒蔵ならではのスイーツも楽しめます!
3が連なるお酒、「三連星」

それは、「三連星」シリーズです。
酒米の王様と呼ばれる滋賀県産酒米、山田錦を使用し、伏流水にて丁寧に作り上げられています。落ち着きのある綺麗な吟醸香が優しく広がり、上品でいてかつ、ジューシーな味わいと幅のある旨味が楽しめ、甘味と酸味のバランスが素晴らしい日本酒です。
このシリーズは2008年に4代目当主の藤居範行代表が新しく立ち上げた銘柄です。
三連星の名前の由来は藤居代表を中心とする3人で設計し醸造していること、30代前半でのチャレンジだったこと、お客様と農家と醸造家の3者の輪を深めるような日本酒にしたいという熱い想いに全て3がついていることから、三連星と命名されました。
また、温度管理が大切な日本酒において、温度によってラベルの色が変化するなどの工夫が施されているだけでなく、大切に扱ってもらえる酒販店のみ扱うという限定販売であり、美冨久酒造の歴史や伝統を大切にしつつも新しい挑戦を! という三連星への深い愛情やこだわりを感じとることができます。
朝ドラ「スカーレット」でおなじみ陶芸の郷、信楽町を巡る

この美冨久酒造から約1時間のところに信楽町があります。
ここはNHKの朝ドラ「スカーレット」の舞台でおなじみ陶芸の郷。
地理的にも京都や奈良という都が比較的近く、良質な陶土が採れたことから陶芸家たちの理想郷、産業として大きな発展を遂げました。朝ドラの主人公のモデルと言われている、日本の女性陶芸家の草分け的存在、神山清子さんも有名です。
ところで、信楽焼といえば、ある動物が有名です。
料亭の入り口などでも見かける、徳利を右手にもち、左手には通帳を持った丸々とした縁起物とされている動物が何かご存知でしょうか?

彼らは編み笠をかぶり、すこし首をかしげ、右手にはお酒を入れる徳利、左手には通帳を持っています。この形は「酒買い小僧」という定番の形だそうです。
意外かと思われるかもしれませんが、たぬきの置物は、信楽焼の歴史と比較すると歴史は意外と浅く、明治時代に陶芸家の藤原銕造が作陶したものが最初であると伝えられています。
たぬきは「他を抜く」に通じることから、この置物は商売繁盛の縁起物として、店の軒先に置かれてきました。
信楽町には、バスの背丈もあるような大きなものから、小さいものまで、さまざまなたぬきの置物に出会うことができます。あまりの多さのたぬき達に化かされないように注意しながらお気に入りのたぬきを見つけてみてくださいね。

滋賀県立陶芸の森美術館です。
焼き物の美と魅力を味わえる陶芸専門のアーティスティックな美術館で、見晴らしが良く、とにかく広い!
敷地内には、迫力ある様々な焼き物が点在する憩いの広場があり、ぶらぶらと歩いて楽しめ、ます。豊かな自然に包まれており、季節感を感じて静かにのんびり散策するのがおすすめです。
また、陶芸家によるワークショップなども行われており、焼き物の魅力を体感できます。
さて、美術館ではもちろん、その界隈でも様々な焼き物をお土産で買うこともできます。
いろいろな焼き物の中から自分のお気に入りを見つけてみてはいかがでしょうか?
たぬきの置物がいつも持っている徳利のような、とっておきの酒器に巡り合えるかもしれません。

お酒のおいしいこの季節、滋賀県の甲賀市に足を運んでみてはいかがでしょうか、信楽焼の酒器で乾杯してみるのもいいかもしれませんね。
※お酒は20歳を過ぎてから。飲酒運転は法律で禁じられています。
関連記事はこちら
筆者紹介
日本酒x旅人 宍戸 涼太郎さん

日本酒の奥深さに魅せられ、全国の日本酒の酒蔵を巡り歩き、魅力を伝えています。大学在学中の2017年に屋外での立ち呑みイベントを実施する団体としてSake Baseを立ち上げ、その後、小売や立ち呑みができるSake Base日本酒の専門店を開店。2019年2月からwebメディアを開始しました。今後も、日本酒の魅力を伝えていく為にSake Base株式会社は奔走し突き進んでいきます。
https://sakebase.jp/(外部リンク)