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エルマの読みもの

鮮度が命? 熟成させた方が良い?
うまい魚の条件とは

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<center>鮮度が命? 熟成させた方が良い?<br>うまい魚の条件とは</center>の写真

この美しい刺身はなんとすべて冷凍品!


豊洲市場「住民」の井上です。


2004年以来、市場の新参者として過ごさせてもらっています。
世界中から人と食品が集まる市場の面白さと、私が日々どのように過ごしているかをお伝えしていきたいと思います。


魚は、魚自体が持つうまみや脂の違いが「味」に大きく影響するのですが、私がそれ以上に大事だと感じるのが「鮮度」です。


うまい鮨(すし)を出す店は、魚屋や市場のような臭いがまったくしません。これに気づいた時は驚きました。「魚=臭い」というのは、なんとなく、当然なのかなと思っていましたから。この臭いとうまさと鮮度は密接に関係しているのですが、その鮮度が作りだす「食感」は、味にどう影響するのでしょうか?


鮮度の良い魚は臭いがせず、うまさだけを楽しめる

車海老

車海老はほとんどが活きで運ばれてくる

臭いがあると、魚のうまさを純粋に楽しむ事ができません。居酒屋などで、どうも箸が進まないな、という魚はどこか生臭いものです。クサヤのように臭くてもおいしいものは確かにありますが、あれは例外です。

魚の臭いは、時間の経過により、魚が腐敗する事から生じます。

鮮度は船上から市場に納品されるまでの時間と状態、それに市場からスーパーや飲食店に納品され、そこから食べるまでの時間と状態がどうかによって変わります。

船上から市場までの鮮度を維持するために、大きく分けて3つの方法がとられています。

1.氷に漬ける
2.船上で締める
3.活きたまま運ぶ

同じ魚であれば、1よりも2、2よりも3の方が、鮮度がよく高値で取引されます。

一般流通されるのはほとんどが「2」です。1の中でも当然良し悪しがあって、船が遠くまで漁に出ていて帰ってくるのが遅ければ鮮度が落ちますし、産地ですぐに出荷されなくても鮮度が落ちます。

魚の臭いは、血と内臓をどうやって取り除くかで変わる

市場から仕入れた魚が飲食店やスーパーに持ち込まれると、そこからさばかれるわけですが、その臭いの元となる血や内臓、粘液などをどうやって取り除くかで臭いが変わります。

臭いを作っているのは、基本「血」と「内臓に残っている餌」です。水揚げされてからできるだけ早く血と内臓をとってあげないと、魚はどんどん臭くなります。

うまい鮨屋や割烹(かっぽう)は、この魚の処理が違います。内臓と血をきれいに取り除き、適切な温度と手法で保存をして臭いを出しません。

魚のうまさを感じてもらうために、それを邪魔する臭いを取り除く、そのためには鮮度が大事になる。「鮮度が命」とはこういう理由です。

でも、魚は鮮度がよければそれでだけでおいしいのでしょうか? 
実は違います。

実は、鮮度があまりに良すぎる魚はおいしくない

長崎で食べた刺盛

長崎で食べた刺盛、食感がブリブリ

海に近いところで育った方はご存じかと思いますが、鮮度があまりに良すぎる魚は味が薄いと感じる事があります。実際、食べ比べをすると、締めてからしばらくたった魚の方が、確かにうまみが濃くなっているのが分かります。

しかし、不思議なものでうまみが濃くなっても、食感が「ぐにゃっ」と柔らかい魚はおいしく感じません。鮮度の良い魚特有の「ブリブリッ」とした食感。この食感がないと、うまい魚を食べている気分にならないのです。

九州の居酒屋では、さばきたてで、かむのに苦労するほどブリブリの魚が出てくる事があります。それを甘めの醤油(しょうゆ)につけて食べるのが九州流です。

あれは味の薄さを補うために甘い醤油で味を補う、魚を知る産地の知恵なんじゃないか? と思っていますがどうなんでしょう。いずれにしても、このブリブリの食感は味に大きく影響します。

■過去の記事はこちら
「ブリブリの刺身」を求める 鮮度へのこだわりが作り上げたもの

魚には鮮度が命の魚と、熟成させた方がうまい魚がある

マグロ

マグロはさばいてから少し時間がたった方が美味、鮨屋さんの中には数週間置く人もいる

鮮度が良い方が良いのかどうかは魚によっても異なります。

マグロなど赤身の魚は数日寝かせた方がうまみが増し、うまく寝かせると2週間位持ちます。ヒラメやタイ、フグなんかも、さばきたてより2~3日程度時間がたった方が、うまみが増します。さばきたての白身は食感が強すぎてかめないほどですが、時間がたつと食感も程よくなります。

しかし、これは「さばいてから」数日置くという事で、内臓がついたままでありません。ここが大事なポイントです。

鮮度が命の魚もあります。まずサバなどの青魚。関サバを代表する九州のサバは現地では刺身で食べるほどです。カワハギも鮮度劣化が激しく、船上で内臓を処理するほどです。締めたてのプリッとした食感、澄んだ肝の味は間が瞬く間に失われ、現地と東京の味の差に驚きます。

剣先イカ

活きたまま輸送される剣先イカ、この状態で運ばれる魚は少数

イカも熟成がきかない魚で、アオリイカなどの大きいものは別として、できるだけ鮮度の良いものをサクサクした食感の内に食べるのがおいしいです。

「鮮度が命派」と、「熟成させた方がうまい派」の議論がたまに酒場で行われますが、これは魚によるんですね。

熟成は、長くすればするほどうまくなるのか?

マグロのブロック

このマグロのブロック1つ1つで、おいしいタイミングは違う

臭いや腐敗の元は「血と内臓」です。
産地で釣りたてをすぐに締め、血を抜き、内臓を取り除くと、魚の腐敗は遅くなります。腐敗が遅くなると「熟成」を長期で行う事ができます。

魚のおいしさはイノシン酸という「うまみ成分」です。イノシン酸は熟成により一定までは増えるのですが、それから少しずつ落ちていきます。通常はそれが落ちきる前に食べます。

しかし、それからしばらくすると今度はアミノ酸という別の「うまみ成分」が増えていきます。うまみ成分は掛け合わせることで増えるので、イノシン酸とアミノ酸が両方あると、感じるうまみは何倍にもなります。

それを可能にしているのが「神経締め」という手法です。神経締めされた魚は、イノシン酸の落ちる速度が遅いので、腐敗せずにアミノ酸の増加を待つことができます。熟成寿司を売り物にしているお店がありますが、徹底した鮮度管理と締め方により今後こういったお店が増えていくかもしれませんね。

ブリブリとしていて、臭いがなく、うまみが最大限に引き出されたもの。これがうまい魚(刺身)なんだと思います。

もちろん、魚によっても求める食感やうまみが違いますし、育った環境でも違うと思います。
答えは1つではないですが、魚のうまさの構成要素がわかっていると、居酒屋で偉そうに語る事ができます。(友人には嫌がられるかもしれませんが。笑)


筆者紹介


豊洲市場在住 食のプロデューサー
井上 真一

豊洲市場在住 食のプロデューサー 井上 真一

2004年にスタートした豊洲市場ドットコム(旧築地市場ドットコム)。
以来、100年以上続く店舗がひしめくなか、市場の新参者として過ごさせてもらっています。世界中から人と食品が集まる市場の面白さと、「肉食系」の男女が集まる市場で、「雑食系」の私がどう過ごしているかをお伝えしたいと思います。

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そうだ。こだわりは、ごちそうなんだと思う。
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