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エルマの読みもの

みかん業界にイノベーションの波がくる。

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豊洲市場「住民」の井上です。


2004年以来、市場の新参者として過ごさせてもらっています。
世界中から人と食品が集まる市場の面白さと、私が日々どのように過ごしているかをお伝えしていきたいと思います。


イノベーションという言葉がありますが、私がいる市場や、市場とつながる生産地ではなんとなく縁遠いと感じる言葉です。農産物はお天道様次第で豊作にも不作にもなり、それは人の手ではどうにもコントロールできない部分で、いくらスマート農業的なIT技術が進んでも自然の力にはあらがう事ができません。自然は偉大であり脅威でもあり、人が変えられるものではありません。人間は本当に小さなものなのだなと感じる事があります。


とは言え、最近のみかん(含む柑橘)の業界を見ていると、何かが変わろうとしているのを感じます。いやそれは、きっと柑橘だけではなく、他の農産物や水産物、お肉の世界でも少しずつ起きていますが、突出してみかん業界にその流れを感じています。


そもそもみかんとはどんなものがあるか?

まず、そもそもみかんとは何か? どんな価値があるのか? みかんの価値が高いから、みかんの業界でイノベーションが起きるのだと思っています。まずみかん自体の説明をしたいと思います。

みかんの定義はあいまいです。
品種としての分類はともかく、一般的にみかんというと「夏みかん」のように柑橘も含まれています。私は、

1:手でむけて薄皮ごと食べられるもの
2:手で剥けて皮ごと食べられないもの
3:切らないとダメなもの
4:酸味が強く絞って料理に使うもの

の4つが消費者的な分類だと思っています。
販売する立場からすると、人気があるのは圧倒的に「1」です。みかんの価値は手で剥けて皮ごと食べられることだと思います。柑橘やみかんの総生産量は年々落ちていますが、①の柑橘は増えています。デコポンやせとか、はるみ、甘平などです。市場の中では「何でも食べやすけりゃ良いってもんじゃねぇ!」という意見もありますが(笑)、時代は食べやすさが重視されているのは事実かと思います。

甘平

話題の柑橘甘平(かんぺい)、つぶつぶ感がすごい

みかんの販売期間は?

みかんの人気はその販売期間の長さからもうかがい知れます。
みかんのスタートは4月、温室栽培モノが市場に入荷します。春先のみかんは母の日などのギフトに使われる酸味が薄く高糖度で口の中でとろけるような食感のモノで大変おいしいです。温室みかんは9月まで続き、そこから極早生(ごくわせ)品種が熊本などの南の地域から順に入荷します。それから11月には早生(わせ)品種、中生(なかて)品種、晩生(おくて)品種と移り変わっていきます。晩生のみかんは12月に収穫されてから貯蔵され(予措(よそ)という)、3月にかけて出荷されます。つまり、1年中売場に切れる事がないんです!

予措の様子

予措(よそ)の様子。じょうのうが厚い晩生種だから3月まで寝かせる事ができます。

意外と知られていない品種と収穫時期による味わいの違い

ちなみに、早生品種・中生品種というのは品種名ではありません。例えば早生品種では、宮川早生、原口早生、興津早生、田口早生、木村早生などがあり、その品種によって味わいも変わります。品種として人気があるのはこの早生種です。市場でも11月の早生種が出てくると、みかんの季節がきた! という雰囲気になります。

早生種は薄皮が口に残らず糖度が高いので総じておいしい。11月・12月をピークにみかんの味はだんだんと落ちるものです。ところが私がまだ経験が浅い頃、お客様の中に「1月のみかんの方がおいしい」と仰る方がいて、まぁ人の好みはいろいろだからなと思っていたのですが、これは私の認識が違ってました。これは、11月の早生みかんを12月まで待ってから収穫すると大変甘くてコクのあるみかんになるのですが、当時私はそういうみかんを知らなかったです。

和歌山の完熟のみかん

和歌山の完熟のみかん。通常よりも2週間~1カ月長く熟させて出荷されます

売場ではどうなってるかというと実は混ざってます。

本来11月の上旬に出る品種を12月まで待って甘くして出す生産者もいれば、もともと12月に収穫される品種を出している生産者もいます。品種によって味わいが違い、生産者によっても違う。さらに年による出来/不出来もあって、じゃあどのみかんがおいしいのか? みかんには産地も糖度も生産者名も書いていません。それを店頭で見分けるのは不可能に近いです。これでは、おいしさを極める生産者はいなくなってしまうのでは? そんな事も思ってしまいます。

ハブになる男の登場

そんな状況を知ってか知らでか、みかんを評価する面白い別の動きがでてきました。株式会社みかんの代表・清原優太さんが実行委員長を務める「みかんサミット」です。清原さんは「東大みかん愛好会」という団体を学生の頃に立ち上げ、その頃にこのみかんサミットの第1回が開催されました。純粋にみかんが好きでそのみかんの魅力を分かち合いたいという気持ちで行われたこの会は、みかん業界に大きなうねりを作っています。どんな大きな企業が行っても、このクオリティーにはならなかったと思います。

みかんサミットの登壇者

みかんサミットの登壇者、左上が委員長の清原さん。私も登壇しています。

みかんサミットではフラットに、みかん・柑橘の抱える課題を皆で討論し考えます。すごいのが登壇者で、JA関係者、市場関係者、ベンチャー企業や、ネット通販事業者、それに当然個人の生産者も加わります。この業界でこれだけの人が一同に集まる事は(いろいろな意味で(笑))まずないと思います。
ここでは、参加者同士の横の連携が生まれます。特に生産者さんは自分と同じように、あるいはそれ以上に取り組んでいる人を知ることができますし、今までは簡単に会えなかった伝説の生産者などを直接知れたりもします。

本来出会う事がなかった人たちが出会った時、そこに何かが生まれる。私はそんな気がしています。

SNSを有効活用する生産者

そして、ここ数年起きている大きな変化が、生産者の情報発信と交流です。生産者同士の交流って、今までは直接会うしかなかったので、遠くに住んでいる人に会うのは大変です。それに、みんな同じ時期に忙しくなるので、会えるのは収穫が終わってからにどうしてもなってしまっていました。
しかし、スマートフォンとSNSの登場により、今の状態をリアルタイムで知ることができます。また、良い肥料や生産方法、経営の仕方なども即座に共有できるのは画期的だなと思います。

「そんなの当たり前じゃん」とか思わないでください。生産者はいつも畑の真ん中にいるのです。いくらパソコンが普及しても、パソコンの前に座る時間は限定的です。ポケットの中にいつでも触れるスマホがあるから、発信ができるようになったのです。それに、今でも諸先輩方はガラケーの方が多いという事実もあります。

生産者のSNS

鹿児島の島に住む生産者のSNS。実際に園地を見ようと思ったら船が必要になる。

価値を伝える場

今年のトレンドワードにもなった産直系の通販サービスはこのコロナの状況下で需要が急激に伸びているようです。宣伝するわけではないですが弊社のようなサイト(豊洲市場ドットコム)もあります。もちろんエールマーケットもそうです。消費者とつながる出口がどんどん増えています。価値あるものを作る力は、その価値を知ることができる場所があってこそ生まれるのではないかと思います。小売業が元気なら小売業的な商品が、ネット通販が元気ならネット通販的な商品が増えるはずです。

旬を食す みかん

エールマーケット「旬を食す みかん」

ネット通販的な商品の発信をずっとしてきて、どんな時に一番売れるかというと、「おいしいみかんが入りました!」ではなく、「生産者が初チャレンジの柑橘です!」だったり、「今年のみかんはいつもの2倍の量が生りそうです!」のような、生産地で起きているリアルな情報を発信した時です。
人が一番関心のある事って、いつの世も「他の人の事」なんだよなーと思います。
そういうのってリアルな小売業ではまず伝える事ができなかった、ネット通販だから伝えられる情報だと思います。

それがさらに進化して、スマートフォンがポケットにあって、いつでもどこでも情報発信できる環境になっています。受け手も出し手もリアルタイムで情報を得る事ができる。後は、その器に何の情報を載せるか? 情報発信が盛んなみかん業界は、この新しい通販の形にいち早く順応すると感じています。


筆者紹介


豊洲市場在住 食のプロデューサー
井上 真一

豊洲市場在住 食のプロデューサー 井上 真一

2004年にスタートした豊洲市場ドットコム(旧築地市場ドットコム)。
以来、100年以上続く店舗がひしめくなか、市場の新参者として過ごさせてもらっています。世界中から人と食品が集まる市場の面白さと、「肉食系」の男女が集まる市場で、「雑食系」の私がどう過ごしているかをお伝えしたいと思います。

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どこにでもあるものより、なかなかないもの。
太陽の香りがしたり、人の手の温度を感じる。
大事に生まれたものは、大事にしたくなるものです。
そうだ。こだわりは、ごちそうなんだと思う。
もっと知ってほしいもの、あなたに届けたいもの、見つけました。
好きって、エールなのかもしれません。