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エルマの読みもの

地ビールで街をハッピーに!
人口転出ワーストからの脱却

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<center>地ビールで街をハッピーに!<br>人口転出ワーストからの脱却</center>の写真

「ビールを飲んだ大人が明るく元気になり、そんな大人を見た子供がまっすぐに育ち、ビールの原料を作る地元農家も潤えば全員ハッピー」。


「横須賀ビール」を手がける下澤敏也氏は笑顔で今後のビジョンを語ります。そんなすてきな未来を創造するため世に生まれた横須賀ビールとは。

LCCがもたらす経済効果と街の変化

ここ数年「観光業」という言葉を耳にする機会が飛躍的に増しています。今や観光業は全世界の国内総生産(GDP)の10%を超えるともいわれており、その勢いは衰えを知りません。

理由はさまざまですが、LCCの台頭も大きな理由のひとつでしょう。

一昔前まで、海外に行くよりも高くつくと言われていた沖縄は、LCCのセールチケットを購入すれば片道3,000円程度、誰しもが一度は憧れを抱くあのハワイも条件によっては10,000円台で行ける時代になりました。

旅好きを公言する筆者もこの5年で50カ国を超える国をに足を運びましたが、LCCを利用した移動がほとんどでした。

10年前だったら3倍以上のお金がかかったであろう路線を、時代に感謝しつつワンクリックで購入。旅をする環境は急激に変わり、この10年間で世界はより一層距離を縮めたといえるでしょう。

「観光客があまり訪れない場所」に注目

LCCの就航は移動費を下げただけではありません。

例えば私が2019年11月に訪れた宮古列島では今、空前のバブルが到来しています。同4月に下地島空港が開設され、首都圏からのアクセスが大幅に改善されたことが理由であり、伊良部島に関しては地価が50倍以上に跳ね上がった場所もあるほど。

このような現象はLCCの台頭とともに世界中で起きています。空港ができるとやがてホテルが建ち、インフラの整備とともに一気に都市開発が進みます。このように地方が栄えるのは歓迎すべきことである反面、問題もあります。私のような旅行者にはどこも同じように見えてきて、実際に旅をしてみても面白いとは感じにくいことが多くなってしまうのです。

そこで私は「観光客があまり訪れない場所」に注目しています。そういった場所で提供されているサービスや商品は、観光客向けではなく地元住民向けのものが多いので、オリジナリティーにあふれているからです。

そしてそのオリジナリティーをうまく生かせば、街の魅力は増し、他の地域との差別化が生まれ、観光客や移住者は自然にやってくると私は考えています。

神奈川県横須賀市は、まさにそれを体現しようとしている都市といえます。

西洋文化の受け入れ口横須賀

横須賀は、江戸末期以来、西洋文化の受け入れ口だったという強烈な個性を持っています。

1853年にペリーが来航して以来、世界中の文化を受け入れてきました。その結果横須賀の街には、カレー屋やコーヒーショップなど、西欧の影響を受けた商品を提供するお店が他の都市と比べても圧倒的に多く並んでいます。

そう、横須賀はフォトジェニックな壁を作ったり、SNSやゆるキャラを有効活動するなどのどこの地域でもできる政策に力を入れるのではなく、横須賀ならではの商品や文化をPRすることで、県外の方にも横須賀の認知度が広がるように活動をしているのです。

これを成功させるには、自治体のみでなく地元小売店や飲食店の力が必要不可欠です。横須賀の人たちはとにかく郷土愛が強いため、個人単位で行動を起こす人が多くいる印象を受けました。

横須賀を盛り上げようと立ち上がる住人たち

今横須賀はある危機に直面しています。それは人口流出です。総務省が発表した「住民基本台帳人口移動報告」によると、横須賀市は2013年の人口転出超過数が全国1位という不名誉な記録を作ってしまいました。

そこで横須賀では、現在も人口流出を食い止めようとあらゆる政策が行われています。自治体のみならず、地元の人たちも強い危機意識を持っており、何か横須賀のためにできることはないかと活動している人に多数出会いました。

その中でも幾度となく目にしたのが、地消地産活動に注力する飲食店です。横須賀の飲食店には、水産物のみならず農産物にいたるまで、地元の食材を積極的に使っているお店が他の地域と比べても圧倒的に多い印象があります。
コストを考えると地元の食材のみにこだわるのは得策とはいえないこともありますが、地元産業の活性化や横須賀の未来を真剣に考える方がいかに多いか思い知らされます。

そんな考えを持つひとり、横須賀のクラフトビールを楽しめるお店「横須賀ビール」を手がける下澤敏也氏にお話を伺いました。

横須賀産にこだわったクラフトビール

下澤氏のお店「横須賀ビール」は、クラフトビールを飲みながら三浦半島の食材を楽しめるビアバーです。

提供する魚は、自社で持つ入札権を活かし横須賀の各漁港から仕入れた朝獲れ地魚を使用。また、地元食材を積極的に使用しています。
もちろん看板メニューのクラフトビールも例外ではありません。

例えば人気の銘柄である「DOBUITA HAPPY」は横須賀の「走水(はしりみず)」という地域の湧き水を仕込み水に使用しています。富士山からゆっくり流れ横須賀の緑で濾過(ろか)された湧き水は、クセがなく口当たりが良いことで知られています。それらの特徴はもちろんビールの味へも直結するため、ビール固有の苦味や癖が苦手な方でも飲みやすい商品が出来上がりました。

またユニークなものでは、横須賀市の林という地域のショウガを使用した「YOKOSUKA FOREST GINGER」や、横須賀市にも近い横浜市釜利谷の「おひさま椎茸(しいたけ)」を使用した「KAMARIYA SHIITAKE ALE」など、多種多様なビールを製造しています。
下澤氏はこう話します。

「自分自身、商店街で育ち、魚屋屋で魚のさばき方を学び、定食屋では、大人たちから歴史や戦争の話、大人になるための心得なんかも聞いてきた。人と人のつながりが自然とあった。ビールは大人を笑顔にする。大人が笑顔になれば子どもたちにも笑顔が派生する。そんな場所を作りたいと思ったんです。」

下澤氏の言葉を体現するように、「横須賀ビール」には、今日も観光客、地元民を問わず、人が集い、つながりや会話、そしてすてきな笑顔が生まれています。
さて、私も、横須賀の青い空のように澄み渡った喉越し爽やかなビールを片手に、シュワっと乾杯といきましょう!

※お酒は20歳を過ぎてから。飲酒運転は法律で禁じられています。

どこにでもあるものより、なかなかないもの。
太陽の香りがしたり、人の手の温度を感じる。
大事に生まれたものは、大事にしたくなるものです。
そうだ。こだわりは、ごちそうなんだと思う。
もっと知ってほしいもの、あなたに届けたいもの、見つけました。
好きって、エールなのかもしれません。