2020.10.02
自然の中で体験する。
エコでアートな森のマーケット&音楽ライブ

農園てとての深瀬さんは、地元の仲間の方々と大分県で「“LIFE is ART” トキも棲(す)める飯田高原に」をテーマに、エコでアートな森のマーケット&音楽ライブを年2回開催しています。自然に優しい物、有機野菜や食品を販売し、大人も子どもも、大自然の中で楽しみながら、和やかなムードで行われます。2020年でなんと13年目!
コロナウイルスの感染が拡大してはじめての「飯田高原アースマーケット」は、大自然の中で、感染対策に気をつけながら2020年8月2日に行われました。
「Life x Art」を大自然の風、空気、緑とともに感じる

「飯田高原アースマーケット」は、大分県と熊本県の県境近くの、飯田高原「くじゅうエイドステーション」というキャンプ場内で開催されます。大自然の山々が広がる飯田高原は、自然豊かな場所で、空気も風も太陽の光も心地よく、とても開放感があります。
今回も、日田の木工クラフトや、畑のピザ、天然酵母パン、アロマ調合など、農園てとてさんを含めて、近隣各地から9つの生産者たちが集まりました。



青空の下で草原に腰を掛け、好きな物を食べながら自然を体感する、最高の時間を過ごすことができます。

手づくりの木工品はぬくもりがあり、手になじみます。優れた物づくりをされている職人さんも集まりました。すべてが自然素材で環境に配慮し、作られています。
また、主に九州で活躍しているアーティストの音楽ライブも和やかに行われました。
来場者たちが、思い思いに、リズムに身を委ねたり、自然と音楽の調和を楽しんで癒やされたり、自由で心地良い時間になっていました。


参加してくれたアーティストには、感謝の気持ちを込めて「投げ銭・投げもの」箱に、観客からお礼が入れられます。お金よりも、野菜やお菓子が入るのは、ほほえましい光景です。
雅子さんは、おいしそうな有機野菜を、参加アーティストのみなさんの箱に入れていました。これもやはり、物々交換的な流れがあり、お金だけではない「感動」の共感、気持ちの交換のような思いがあります。
大人も子どもも、思いっきり楽しめるマーケット

大人も子どももたくさん楽しめる、アースマーケット。会場の横には川があり、暑さもあって、たくさんの子どもや大人たちが涼をとっていました。川や山で遊ぶことは、水のきれいさ、虫や川に住む生き物など、生物多様性を自然に実感できる貴重な体験です。

また、会場内では、子どもたちのフリーマーケットのコーナーも。遊び終わったおもちゃや、使わなくなった物を、次に欲しい子どもたちへ。自然とエシカルな体験もできています。

雅子さんは、飯田高原アースマーケットと、子どもたちとの関わりについて話してくれました。
このマーケットは子どもたちと一緒に成長してきました。
マーケット全体でお互いの子どもを見守り、自由に自然の中で遊んでもらえるように、という思いを主催や出店者と共有してきました。
他人の子も安全に注意して見守ること。でも手を出し過ぎないこと。「けがと弁当は自分持ち、自分の責任で自由に遊ぶ」といったプレーパーク(冒険遊び場)の考えを参考にしています。
親たちもこうした考えを持ちながら自由に遊んでいます。時に子どもたちにお構いなしになることもあるけれど、そんな自由な姿を見て、子どもたちも自然に学んでいるのだと思います。
アースマーケットへの思い。そして、今後のこと。

主催者の一人でもある、深瀬雅子さんに、アースマーケットをはじめた思いと、今後の活動、展望についてうかがいました。
アースマーケットは13年前、田舎暮らしをしている友達と「お互いに物々交換していけば、なんとか生きていけそうだね! ならば月1回ぐらいそうした場をつくれたらいいね!」というゆるいノリでスタートしました。
ただ、コンセプトだけは、はっきりとしていました(笑)。
そのコンセプトとは、「トキ」です。
トキは漢字で「朱鷺」と書きます。日本には「ときいろ(朱鷺色、鴇色)」という色がありますが、その色はやや紫にも近い淡いピンクで、トキの風切羽の色をしています。私はまだ本物を見たことはないのですが、羽ばたく姿が美しい大きな鳥だそうです。
トキは、のんびりとした性格で、川や田んぼに農薬や化学薬品などが多く流れ込む前の生態系においては、人間のすぐそばで、豊かに暮らしてたのです。しかし、トキは近代化の環境の変化についていけませんでした。

真偽は定かでないのですが、古い文献の中に飯田高原にトキが舞っていたという記述が残っていたそうです。
飯田高原にトキが住める環境があったことに感動した地元の方たちは、それをきっかけに、自然を守るボランティアグループ、九重町役場、有機農業のグループなどが中心となって、絶滅したトキを復活させた佐渡との交流や勉強会に取り組んでいました。
わたしたちはその思いをつないでいます。わたしたちの暮らしが、ふたたびトキの舞う環境を作り出せることを願って、「トキも住める飯田高原に」を合言葉に、飯田高原アースマーケットをスタートさせました。
そのような暮らし(生き方)は、環境にやさしく、創造的でアーティスティックです。その創造性が、もう1つのキーワード、「LIFE is ART」に込められています。
今後の課題は、運営の金銭面です。多くの時間と準備、片付けなどたくさんの労働をしてくれた方々に、ちゃんとした対価でお支払いできれば、と思っています。
また、このマーケットも少しづつ世代交代しながら、変化しています。始めた当時4歳だったうちの子も、17歳になりました。若い子はどんどん育っていきますよね。
ただ同じマーケットを続けるということよりも、「このマーケットで何を楽しみたいか?」を大事にしながら、柔軟に変化しながら続いていけたらいいなと思ってます。

「自然の中で楽しむ」=「自然を愛しむ」ことを体現したような「飯田高原アースマーケット」。無理に何かを作り出すのではなく、そこにある自然の恵みとともに、人々がつながり、共感し、「五感が満たされる」すてきな活動です。余計な説明はいらない、大人も子どもも、みんなが楽しめる、理想の「マーケット」がそこにありました。
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旬の有機野菜が盛りだくさん入った野菜セットです。有機野菜を使った手づくりの加工品も楽しみのひとつです。届いてからのお楽しみ。さらに、めずらしい野菜には、使い方やレシピのメモが同封されているのも人気です。
生産者紹介
農園てとて 深瀬 隆治さん、雅子さん

大分県 由布市の山間部で、農薬や化学肥料をを一切使わず、環境に負荷をかけない、次世代に続く有機農業に取り組んでいます。ご夫婦ともに大学の農学部で学び、南房総市(旧三芳村)で有機農業の研修後、九州で農地を探し、2000年に新規就農。豊富な知識と経験で多品目の有機野菜、米、麦などを栽培しています。固定種、在来種の野菜、種にこだわっています。有機JAS認証農家。古民家を再生し、民泊の受け入れもしています。