2020.12.08
野菜にも相性がある!?
良い影響を与えあうコンパニオンプランツとは

野菜には相性のよい組み合わせがあるのをご存じですか? 一緒に(または隣に)作るとお互いに良い影響を与え合う、相性の良い植物の組み合わせを「コンパニオンプランツ(別名:共栄作物)」といいます。
その原点は、自然生態系の中にあります。今回は有機農家 深瀬さんの「コンパニオンプランツ」を育てるコツをお伝えします。
深瀬さんの畑の「コンパニオンプランツ」から学ぶコツ
深瀬さんの畑にはどのようなコンパニオンプランツの組み合わせや、取り組みをされているのかをうかがいました。

わが家のコンパニオンプランツの定番は、ウリ科(キュウリやまくわうり)とねぎです。
病気を防ぐとともにお互いに良く育ちます。ナスの木陰にパセリを植えたり、トマトとバジルを植えたりします。
トマトとバジルはお互いに同じぐらい大きめに育つので、日光を取り合い、風通しを悪くしてしまう欠点もあるので、混植ではなく、隣のウネに並べて植えたりします。
コンパニオンプランツで注意してほしいのが、この「光の取り合い」です。
競い合って大きく育つという考え方もありますが、茂りすぎて、じゃまし合う事も多いのです。
そうなると先ほど述べたように風通しが悪くなったり、収穫しにくかったりします。ですので、同じ列の中に2種植えるのでなく、隣の列に並べてそれぞれの管理したほうが楽な場合もあります。

今年初めて試してみたのは、トウモロコシとサツマイモです。
トウモロコシを先にマルチで育てて、収穫する前ぐらいにその日陰でサツマイモを育てます。収穫が終わったら、トウモロコシを根元から切って、サツマイモのみ育てます。
今回の利点は、
・トウモロコシのウネがそのまま利用できること。(マルチの再利用)
・トウモロコシの日陰で熱い時期に水やりの心配なく定植できること。
・さつまいもは肥料が少ない方が良いので、トウモロコシが育った後でそのまま育てられること。
本に載っていたわけではないのですが、今回の忙しい中の思いつきは意外とうまくいき、トウモロコシもサツマイモの手間をかけることなく両方うまく育ちました。これは今年の嬉しい収穫でした。

「里いもと生姜」は、水分が多いところがすきで、生姜は半日陰でもよく育つのでさといもの影で作ると良いです。畑でもそういう場所をえらんで植えます。

春菊などのキク科とキャベツやブロッコリーなどのアブラナ科の組み合わせは、つく虫が違うので、片方についた虫を片方が食べ、自然と野菜が健やかに育ちます。
このように時間や空間をうまくずらし、いろいろな植物を組み合わせて育てられることも、コンパニオンプランツの楽しさです。
以前はコンパニオンプランツの表を見て、いろいろ考えてやってみたりしましたが、最近は気分で組み合わせることも多いです。
特に野菜の間に好きなハーブやお花を植えることは、箸休めや思わぬ収穫にもなり、とても気持ちの良い畑になります。ミツバチやアブなどの受粉を促してくれる虫たちも遊びに来てくれますし、お花やハーブも野菜と一緒に届けられますし、一石三鳥くらいの気分にさせてくれます。
じゃまし合わないように気をつけて、小さな森を作る感じで遊んでみると良いですよ。
野菜と虫と農家さん、それぞれのいい関係が、畑の中にあります。自然の恵みを大事にし、生かしながら、楽しんで生活されている深瀬さんらしいコメントでした。
もっと知る「コンパニオンプランツ」の組み合わせ例
他にも、具体的にどのような例があるか深瀬さんが教えてくれました。
1、病害虫が嫌がるもの(香りが強いもの、ネギ類やハーブ)との組み合わせ
(1)ネギ類(ユリ科)
例えば、ニラとキュウリ、ネギとスイカ
(2)キク科
例えば、マリーゴールドとピーマン、マリーゴールドの後に大根・さつまいも・人参などの根菜類を作つけ、カモミールと玉ねぎ
(3)セリ科
例えば、パセリとナス、セロリとトマト
(4)シソ科
例えば、バジルとトマト、バジルとラデッシュ、オレガノとウリ科のもの(メロン・きゅうりなど)

2、背が高いもの(光を好むもの)と低いもの(光を好まないもの)との組み合わせ
例えば、里芋とショウガ、秋冬野菜を夏に作る(日陰を利用して涼しい所で作る)、 トウモロコシとレタスやサラダリーフ・ルッコラ、ズッキーニとレタス
3、栄養分をくれるもの(マメ科)
マメ科は空気中の窒素(N)を固定し、土壌に窒素を供給してくれます。また、菌根菌も強制するものも多いため、根が吸収しにくい化合物になっているリン酸やマグネシウム、鉄などのミネラルを土壌中から分解・吸収して植物に与えます。
例えば、トマトと落花生、人参と枝豆、ピーマンとインゲン
4、天敵を集めるもの(雑草や花)
天敵とは害虫にを餌にして繁殖する虫たちです。
例えば、
・カマキリ・テントウムシ・クモ・ヒラタアブ・寄生蜂・オオメカメムシ・カゲロウ・カエルなど
・クローバー・カラスノエンドウなど(雑草抑える働きもあり)
クローバーとキャベツ(クローバーがクモやテントウムシのすみかになる)
・ハーブや花(花をたくさんつけ、ミツバチやハナアブがあつまり、受粉もしてくれます)

「コンパニオンプランツ」は、自然生態系の基本
畑で農作物がよく育つ大事な条件として、「土が良いこと」があります。しっかりと根を張り、元気な農作物を育てることが、病害虫を防ぐことにつながります。
その良い土で、植物の組み合わせ、空間の取り方でさらに効果的に農作物を作る方法が「コンパニオンプランツ」を活用することだと、深瀬さんは考えます。
特別意図してコンパニオンプランツとして育てたわけではないのですが、お互いにうまく育っていたら、相性がよいんだなと思ったりします。
空間や生態系のバランスがとれていれば、お互いに元気に育ち会う関係、それが、「コンパニオンプランツ」かなと。
自然の森が、大きな木の下に中木が生え、その下に低木が生え、下草が育つ。そんなイメージで、日々作物を育てています。畑サイズで自然の森の生態系を作る感じです。
パーマカルチャーの考え方とかぶりますが、上空間のバランスが取れているということは、下の根っこのバランスも取れています。
最終的に、大きくまとめれば、畑にいろいろなものを多品目植えること自体が、凹凸を産み、風が生まれ、多様な空間を産み、多様な鳥や虫たち、微生物が共存する事につながります。

農薬や化学肥料を使わずに、自然生態系がはるか昔から行なってきた条理にしたがい、相性を生かして野菜作りなどをすることが、自然にとっても人間にとっても、効果的な農業であるといえます。
深瀬さんの自然生態系を大切にし、それを生かした暮らしと農業への考え方は、自然や人にとって、とても意義あることだといえます。
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生産者紹介
農園てとて 深瀬 隆治さん、雅子さん

大分県 由布市の山間部で、農薬や化学肥料をを一切使わず、環境に負荷をかけない、次世代に続く有機農業に取り組んでいます。ご夫婦ともに大学の農学部で学び、南房総市(旧三芳村)で有機農業の研修後、九州で農地を探し、2000年に新規就農。豊富な知識と経験で多品目の有機野菜、米、麦などを栽培しています。固定種、在来種の野菜、種にこだわっています。古民家を再生し、民泊の受け入れもしています。