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種(タネ)が消えると食文化が消える。未来につなげたい大事な種のこと

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種(タネ)が消えると食文化が消える。未来につなげたい大事な種のことの写真

「在来種」や「固定種」など、種には種類があるのを知っていますか? 農園てとてさんや他の農家さんたちは、おいしく、安全な野菜を作り続けるために協力して種を守っています。少し伝わりにくい種のことを、大分県由布市で有機農園を営む「農園てとて」の深瀬さんたちと考えてみました。

種をつなぐには、人と人との出会いが必要不可欠だった

種をつなぐには、人と人との出会いが必要不可欠だった

簡単に種の説明をすると「在来種」は、その地域に古くからある種で、自然、野生種に近く、もともとその地域に生息している植物の種のことです。「固定種」は、作物が生きていく中で、代々受けつがれて来た種で、味や形が固定されたものです。また、その過程は自然淘汰(しぜんとうた)のみで生まれた種、人間が母本選抜(ぼほんせんばつ)を行って生まれた種があります。昔から続く、この在来種と固定種は、今は貴重な種となっています。

種には「F1種」という種類もあり、これは品種改良によって開発、普及した種になり、一代限りの品種です。

種

農園てとて 深瀬さんは、「在来種」や「固定種」の種を守る活動の一環として「種の交換会」を時々開催しています。

昨年2019年12月に、毎年恒例の「おおいたオーガニックフェスタ」が、大分市で行われ、深瀬さんたちは、この時も「種の交換会」を行いました。

この種の交換会のルールは、分かりやすくできています。まず、有機農家さんに限らず、家庭菜園をしている人など幅広く参加できます。
そして、種を瓶などに入れて持ち込み、他の人が同じように持ってきた種を代わりに持ち帰ることができます。種を持ってきていない人は、寄付をして種を持ち帰ることができます。寄付金は、種をつなぐ活動費(会の開催費、種の維持費)に充てられます。

種の交換会

この活動で、深瀬さんは、生産者同士も支えあっているといいます。
隆治さんは言います。「種の交換会は、人と人が出会うチャンスなんです。1人でやると失敗し、その年、種が取れないという時もあって、みんなそういう体験を少しずつしているんです。その時に種を交換していると、今年うちが失敗したけど、あそこにあげたね、となるんです」

さらに、実際の体験談を話してくれました。
「この前、うちの黒米が良くなく、種取りができなくて、熊本の人にあげたことを思い出したんです。10年ぶりに電話してみると、受け継がれて育てられていました! そして、またうちに種が戻ってきたんですよ。また、逆の場合もあってね。日田市のゆげさんという友人が、 20年間、地(じ)きゅうりを作っているんですが、まさに"ゆげきゅうり"というくらいめずらしいきゅうりでね。あるとき、地きゅうりの種を会に持ってきてくれたんです。うちがそれを分けてもらったんですけどね、そのゆげさんが、20年間も作り続けていたきゅうりが今年できなかったと連絡をくれたんです。そして、うちがその種を返したということもありました」

まさに、支え合いの種の交換会なのだなと実感できるエピソードでした。

子どもだけじゃない。大人も知りたい種の「体験ブース」

種の交換会

このイベントではさまざまな方がブースを出展していました。

大分大学の小山敬晴准教授、学生さんたちの研究グループのブースでは、「種苗法(しゅびょうほう)ってなに?」「種とりはできなくなるの?」という今、生産者が直面している問題を参加者にも分かりやすく説明していました。

種とり体験

また、他のブースでは、小さな子どもから大人まで、普段あまり気づかなった種のことを身近に考え、実物の形状や大きさを手にとって実感することのできる「種とり体験」が来場者向けに行われていました。「普段何気なく食べている野菜の元はコレなんだぁ」と子どもたちも感心している様子が印象的でした。

想像したことがあるだろうか。未来に影響する「種」のこと

種の交換会

種の育成者を保護する「種苗法」は今、変動の時にあり、自家採種を禁じる法律改正が予定されているといわれています。そのため、多くの農家さんたちからは、どこまで種とりの自由があるのかを心配する声が聞かれます。農家さんたちは、その土地に代々伝わってきた在来種、種とりできる固定種など、個性的な野菜たちの種を残して行きたいという想いを強く持っています。

種の交換会

この日の交換会では、有機農家さんや、自家菜園で無農薬野菜作っている人たちから、数多くの種が、持ち込まれていました。深瀬さんも入っている、由布市の有機農家さんたちの会、「ゆふ土まみれの会」の古長さんからは、きれいなアンデスレッドの種芋が持ち込まれていました。また、石角さんのハヤトウリも色ツヤが良く、そのまま種として埋めるのがもったいないくらいでした。

このような種を受けつぐことには大事な意義があります。「もし、種が消えるようなことがあったら、それは、食文化が消えることです」と深瀬さんはいいます。さらに、「その土地ならではの野菜や食べ物を発見、体験することを大事にして、未来の人々にも伝えていきたい」と話します。「どこにも売っていない、各地にあるめずらしい種が発見される楽しみもあるんですよ。その"楽しいね!"という会にしたいんです」とのこと。

最近では、県を越えて徐々に種の交換会の活動が広がりはじめています。

種の交換会

種の交換会を通じて伝わることは、「自分たちだけの種ではない。みんなで守り続ける種を大事にしよう」という農家さん、生産者の想いです。
雅子さんは、「農家が種を完全に手放してしまうと何も作れなくなってしまいます。私たちの野菜を買って支えてくれる方々を、こちらも支えて行きたいと思えば、本当に大事な種は、しっかり自分の手で、そして、地域やみんなとつないでいかなくては、と思っています」と語ってくれました。

種がつながることで、人と人がつながり、さらに今の人々と未来の人々もつながるという、いくつもの相乗効果があります。 毎日の食事を通じて「こんな個性的でおいしい野菜があるんだよ」と伝えていけたらいいですね。


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旬の有機野菜が盛りだくさん入った野菜セットです。このページで紹介した干し野菜も季節によって、入ることも。また、ジャムなどの手づくりの加工品も楽しみのひとつです。届いてからのお楽しみ。さらに、めずらしい野菜には、使い方やレシピのメモが同封されているのも人気です。

生産者紹介

農園てとて 深瀬 隆治さん、雅子さん

深瀬さん

大分県 由布市の山間部で、無農薬、無化学肥料、無除草剤の環境に負荷をかけない、次世代に続く有機農業に取り組んでいます。ご夫婦ともに大学の農学部で学び、南房総市(旧三芳村)で有機農業の研修後、九州で農地を探し、2000年に新規就農。豊富な知識と経験で多品目の有機野菜、米、麦などを栽培しています。固定種、在来種の野菜、種にこだわっています。有機JAS認証農家。古民家を再生し、民泊の受け入れもしています。

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どこにでもあるものより、なかなかないもの。
太陽の香りがしたり、人の手の温度を感じる。
大事に生まれたものは、大事にしたくなるものです。
そうだ。こだわりは、ごちそうなんだと思う。
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