人・社会、地域、環境にやさしいエシカル商品を応援するお買い物メディア エールマーケット

いまさら聞けない「食品ロス」って何だろう?タイトル
いまさら聞けない「食品ロス」って何だろう?タイトル

  • twitterでこのページをシェア
  • facebookでこのページをシェア
  • インスタグラムでこのページをシェア

この世界を生きるすべての人に関わること。それは「食べること」。本来、豊かで楽しい営みであるはずの「食べること」が、実は、私たちの知らないところで大きな問題を引き起こしていることを知っていますか?

「学んで完食。」では、分かるようで分からない「食品ロス」の現状や問題点、その原因や解決策について、食品ロス削減と貧困問題に取り組むNPO法人日本もったいない食品センターの代表理事を務める高津博司さん(詳細プロフィールはこちら)のご協力のもと、これから全4回に分けて皆さんと一緒に学んでいきます。

第1回目の今回は、「いまさら聞けない『食品ロス』って何だろう?」というテーマで、食品ロスに関する基礎知識を学びます。

「食品廃棄」と「食品ロス」の違いとは?

まずは、多くの人が勘違いしがちな言葉の定義から学んでいきましょう。突然ですが、皆さんは「食品廃棄物」と「食品ロス」が、実は違う意味であることを知っていましたか?混同して使われることも多いこの2つの言葉ですが、農林水産省の定義によれば、正確にはそれぞれ下記を意味しています。

食品廃棄物
不可食部分も含む廃棄
食品ロス(フードロス)
可食部分の廃棄

「食品廃棄物」の定義には、野菜の芯や魚の骨など、食べることができない不可食部分も含まれます。一方の「食品ロス(フードロス)」は、食べられるのに捨てられてしまう、可食部分の廃棄を指しています。「食品廃棄物」のほうが「食品ロス」よりもより広い概念となります。

また、食品ロスは、生産、製造・加工、卸・流通、小売・外食の過程で発生する「事業系の食品ロス」と、消費者の過程で発生する「家庭系の食品ロス」に分けられます。

海外における「Food Loss」と「Food Waste」の意味

食品ロスについては海外における呼び方が日本と少し定義が異なるので、注意が必要です。FAO(国際連合食糧農業機関)では、食品廃棄物のことを「Food Loss and Waste」と呼んでおり、「Food Loss」と「Food Waste」はそれぞれ下記のように区別されます。

Food Loss
生産、製造・加工、卸・流通過程で発生する廃棄
Food Waste
小売・外食、消費者・家庭で発生する廃棄

海外では、「Food Loss」の「Loss」という言葉は「損失」を示す意味合いが強く、消費者の目に触れる前の過程で発生する損失のことを指します。その他の、消費期限切れは食べ残しなどにより廃棄される場合は「Food Waste」という言い方となります。

ここまでの話を図としてまとめると、下記のような言葉の使い分けとなります。

食品廃棄物の定義の説明イラスト
食品廃棄物の定義の説明イラスト

(※画像提供:日本もったいない食品センター)

日本における「食品ロス」は可食部分の廃棄、つまり、私たち生活者一人一人の努力や工夫によっても減らすことができる部分を指し、不可食部分も含む「食品廃棄物」より狭い範囲を指すということ、そして海外では消費者の目に触れる前と後で「Food Loss」と「Food Waste」の表現が分かれるという点を覚えておきましょう。

日本における食品ロスの現状

「食品ロス」の定義について理解したら、次は日本における「食品ロス」の現状について学んでいきます。2021年4月の農林水産省発表の資料によると、2018年度における日本の食品ロスの量は600万トンとなっています。

600万トンは実に東京ドーム約5杯分の量にあたり、世界で援助されている食料の量の2倍に相当すると言われています。日本人一人当たりに換算すると、私たちは毎日お茶碗一杯分に相当する約130グラム、年間約45キログラムの食品ロスを生み出していることになります。

なお、この600万トンという数値は農林水産省が食品ロス量の推計を開始した2012年度以降で最小数値となっており、2017年度(612万トン)比較しても12万トン減少しています。しかし、依然として日本人全員が毎日お茶碗一杯分の食品を食べられるにもかかわらず 捨ててしまっているという事実に変わりはなく、早急な対策が求められています。

また、600万トンのうち、業者および家庭から出る食品ロスの内訳は下記のようになっています。

食品関連事業者から出る約324万トン、家庭から出る約276万トンの食品ロスのイメージイラスト
食品関連事業者から出る約324万トン、家庭から出る約276万トンの食品ロスのイメージイラスト

また、事業者から出る食品ロス324万トンのうち、業種別の割合は下記のようになっています。

食品関連事業者から出るの食品ロスの内訳イメージイラスト
食品関連事業者から出るの食品ロスの内訳イメージイラスト

一方で、日本の食料自給率(カロリーベース)は2019年時点で38%となっており、多くの食料を海外から輸入に頼っていることが分かります。たくさん輸入しているにも関わらず、たくさん捨てている。それが今の日本の現状なのです。

こうした現状を受けて、日本では2019年7月に公表された「食品循環資源の再生利用など の促進に関する法律」(食品リサイクル法)の基本方針のなかで、食品関連事業者から発生する事業系食品ロスを、2000年度比で2030年度までに半減させるという目標が設定されています。また、一般家庭から発生する家庭系食品ロスについても「第四次循環型社会形成推進基本計画」(平成30年6月閣議決定)において同様の目標が設定されています。

日本もったいない食品センターの高津さんは、事業系食品ロスと家庭系食品ロスの削減可能性についてどのように考えているのでしょうか?

高津さん「事業系のロスについては、製造、卸、小売など、業態によって食品ロスが発生する理由もさまざま です。企業は食品ロスについて世間の注目が集まる前から廃棄を減らすための努力をしてきましたが、どうしても難しい部分もあります。例えば、小売店では消費者のほうが強い立場にあり、消費者の希望に応えるために品ぞろえ を充実させることで、結果としてロスが生まれています。事業系についてはロスを1割削減することも簡単ではありません。」

「一方で、家庭から出るロスについては、賞味期限と消費期限の違いや正しい保管方法など、食品ロスを減らすための正しい知識を持ってもらうことで半減できると考えています。その意味で、啓発活動を通じて知識を広めることはとても重要です。」

啓発活動を行う高津さんの写真

(食品ロスに関する啓発活動を行う高津さん。※画像提供:日本もったいない食品センター)

事業系の食品ロスについては法律や現状の商習慣をめぐる構造的な問題があり削減は簡単ではないものの、家庭系の食品ロスについては、私たち一人一人に正しい知識があれば半減させられると話す高津さん。

また、たとえ事業系のロスであったとしても、お店で買い物をするときに賞味期限が近いものから買っていく、常に完璧の品ぞろえを期待するのではなく、そこにあるもので買い物をするなど、消費者が意識を変えることで減らすことができる、という視点は参考になります。高津さん自身は、行きつけの飲食店に行くときに、あえて食品ロス削減メニューを依頼することもあるそうです。

「飲食店の中には僕のことを知っている人もいますから、メニューはお任せで、食品ロス削減メニューをお願いするんですね。余りそうなものを上手に料理して出してくれと。そうすると、お店も嬉しいですし、消費者としても安く提供してもらえます。」

事業系の食品ロスについても企業だけのせいにすることなく、いち消費者としてできることに取り組んでいくことが大事だと言えます。

世界の食品ロスの現状

ここまでは日本の食品ロスをめぐる現状について詳しく見てきましたが、世界の食品ロスの現状はどうなっているのでしょうか?FAO(国連食糧農業機関)の報告書によると、世界全体では食料生産量の3分の1にあたる約13億トンもの食料が毎年廃棄されています。

9人に1人、世界で8億1500万人が栄養不良のイメージイラスト
9人に1人、世界で8億1500万人が栄養不良のイメージイラスト

一方で、現在世界人口の9人に1人(8億1500万人)が栄養不良に陥っており、栄養不良が原因で死亡する5歳未満の子どもは年間310万人と、子どもの死者数の約半数(45%)を占めているという現状があります。

世界では毎日大量の食品ロスが発生しているにも関わらず、その影では多くの人が十分な栄養を得られず飢餓に陥っているという不条理なことが起こっており、私たちも消費者としてその責任の一端を担っています。

こうした現状を受けて、2015年9月に採択された国連の「SDGs(持続可能な開発目標)」では、目標12「つかう責任・つくる責任」の中に、「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、 収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる」という目標が盛り込まれています。

また、世界では法規制により食品廃棄の削減に取り組んでいる国もあります。例えば、「2025年までに食品廃棄物を50%削減する」という目標を掲げているフランスでは、2016年2月に「食品廃棄禁止法」が施行され、延床面積が400㎡以上のスーパーマーケットを対象に、賞味期限切れなどで売れ残った食料の廃棄を禁止し、生活困窮者への配給活動を行う慈善団体に寄付するか、家畜の飼料や肥料に転用することが義務付けられました。違反した場合には罰金規定も設けられています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。「学んで完食。」第1回目は、「食品ロスとは何か?」について学びました。食品ロス削減に向けた最初の一歩は、現状について正しく理解するところから。ぜひ言葉の定義や現状を示す数字 について頭に入れておきましょう。

次回はもう一歩踏み込んで、「なぜ食品ロスが問題なのか?」について、環境・社会・経済という3つの視点から学んでいきます。次回もぜひお楽しみに!

高津博司さんの写真

高津博司さん(NPO法人日本もったいない食品センターの代表理事)

  • 1978年

    愛媛県松山市で生まれる

  • 1996年

    神戸市の高校を卒業後、海上保安庁に入庁

  • 2005年

    同庁を退職し、総合商社を設立 ※現在も経営中

  • 2015年

    総合商社の仕事を通じて、食品ロスの現状を知る。同年、国内でも食品が必要な要支援者が多数いることも知る。

  • 2016年

    現活動の前身として、総合商社で食品ロス削減、食料支援を行い始める。

  • 2017年

    商社で行っていた慈善活動などをNPO法人として引き継ぎ、現在に至る。

  • 2019年

    大阪市福島区において、ecoeat一号店をオープンさせる。



すべての商品を閲覧履歴から削除しますか?

この商品を閲覧履歴から削除しますか?

この商品をお気に入りから削除しますか?

お気に入りに追加しました お気に入り一覧をみる 今後、このメッセージを表示しない

この商品はすでにお気に入りに
登録されています お気に入り一覧をみる

お気に入りは60件以上追加できません 新たにお気に入りを追加する場合は、
すでに登録されているお気に入りを
削除してください
お気に入り一覧をみる

システムエラーが発生しました
しばらく待ってからもう一度お試しください

どこにでもあるものより、なかなかないもの。
太陽の香りがしたり、人の手の温度を感じる。
大事に生まれたものは、大事にしたくなるものです。
そうだ。こだわりは、ごちそうなんだと思う。
もっと知ってほしいもの、あなたに届けたいもの、見つけました。
好きって、エールなのかもしれません。