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実はこんなに深刻!?食品ロスは「なぜ」問題なの?タイトル
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分かるようで分からない食品ロスの現状や問題点、その原因や解決策について、食品ロス削減と貧困問題に取り組むNPO法人日本もったいない食品センターの代表理事を務める高津博司さん(詳細プロフィールはこちら)と一緒に学んでいくコーナー、「学んで完食。」。

第2回目となる今回は、「実はこんなに深刻!? 食品ロスは「なぜ」問題なの?」というテーマで、環境・社会・経済という3つの視点から、なぜ食品ロスを減らす必要があるのかについて学んでいきます。

環境:食品ロスが、気候変動を加速させる?

食品ロスと気候変動。一見結びつかないように思える2つのテーマですが、実は両者は深く結びついた問題です。

国連食糧機関(FAO)の調査(外部サイト)によると、世界の食品廃棄物は年間約4.4ギガトンの温室効果ガスを排出しています。これは、食品廃棄物を国として考えると、世界でもっとも温室効果ガス排出が多い中国(約10.8ギガトン)、アメリカ(約5.8ギガトン)に次いで3番目に大きな排出国に相当する量です。日本の排出量は約1.2ギガトンですから、世界の食品廃棄物だけで日本全体の3倍以上の排出量を占めているという計算となります。

食品廃棄物を国とみると、世界第3位の温室効果ガス排出国となるイラスト表
食品廃棄物を国とみると、世界第3位の温室効果ガス排出国となるイラスト表

※人間活動に起因する温室効果ガス量(土地利用・土地利用の変化・林業も含む)。国のデータは2012年、食品廃棄物のデータは2011年。ダブルカウント防止のため、食品廃棄物の排出量は国別の数値には含めていない。
(※画像:World Resources Institute のデータを基に作成)

また、世界資源研究所(WRI)のデータ(外部サイト)では、食品廃棄物の温室効果ガス排出量は世界全体の排出量のうち約8.2%を占めており、航空業界(約1.4%)の5倍以上、道路輸送(約10.0%)に匹敵する排出量を占めていることが分かります。

食品廃棄物に由来する温室効果ガス排出量は、道路輸送に匹敵するイラスト表
食品廃棄物に由来する温室効果ガス排出量は、道路輸送に匹敵するイラスト表

※業界データは2012年、食品廃棄物データは2011年。食品廃棄物の排出量は、輸送や埋立などライフサイクルの様々な段階を結合しているため、ダブルカウントを防ぐため、業界別のデータには含めていない。
(※画像:World Resources Institute のデータを基に作成)

「フライト・シェイム(飛び恥)」という言葉があるように、気候変動を懸念する人々からは、大量の化石燃料を用いる飛行機に対する批判的な意見を聞くことがありますが、実は食品廃棄物のほうが航空産業よりもはるかに気候変動に対して大きな影響を及ぼしているのです。

ちなみに、食品廃棄物の中でも特に温室効果ガス排出量が多くなっているのがお米や小麦などの穀物類で、全体の3割以上を占めており、野菜と肉類がそれに続きます。また、農業、収穫・保管、加工・製造、物流、消費といった一連の食品サプライチェーンの中でもっとも温室効果ガス排出量が多いのが、消費のフェーズで、全体の37%を占めています。大量の水分を含む生ごみは焼却処分に多くのエネルギーを必要とし、それが温室効果ガスの排出につながっているのです。

社会:食品ロスが、貧困を加速させる?

食品ロスは、環境だけではなく社会問題とも密接に関わっています。現在、世界人口の 9 人に 1 人に相当する約8 億 1,500 万人が栄養不良に陥っており、栄養不良が原因で亡くなる5歳未満の子どもは年間 310 万人と、子どもの死者数のほぼ半数(45%)を占めているという現実(外部サイト)があります。

こうした飢餓に苦しむ人々に向けて、世界では年間約420万トンの食糧援助が行われていますが、日本ではそれを上回る約600万トンが毎年食品ロスとして廃棄されています。日本に輸入され、捨てられてしまう食品の一部でも貧困や飢餓に苦しむ人々の手元に回すことができれば、多くの命を救うことができるのです。

また、貧困はアフリカや東アジアなど一部の地域に限った問題ではなく、日本においても深刻な問題となっています。厚生労働者が2020年7月に発表した「2019年 国民生活基礎調査(外部サイト)」によると、2018年の国内における子どもの貧困率(17歳以下)は13.5%となっており、実に約7人に1人の子どもが貧困状態にあります。

日本の子どもの約7人に1人の子どもが貧困状態説明イラスト
日本の子どもの約7人に1人の子どもが貧困状態説明イラスト

(※厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査」より)

さらに、2050年までに世界の人口は現在の約78億人から約97億人まで増加すると予測されており、人口増加による食料問題の深刻化も懸念されています。そのなかで、食料自給率(カロリーベース)が約37%と低く、食べ物の多くを海外からの輸入に頼っている日本にとって、将来の食料不足は決して他人事ではありません。食料不足により価格が高騰すれば、現状でさえ貧困により十分な食事にありつけない子どもたちがたくさんいるにも関わらず、その状況が今後さらに悪化する可能性もあります。

貧困問題を解決するためには、食品ロスとして捨てられてしまう食品を、少しでも十分な食事にありつけない人々へと回し、無駄をなくす必要があるのです。企業から食品ロスを譲り受け、福祉施設や子ども食堂、生活困窮者の方々などに届ける活動を続けているもったいない食品センターの高津さんは、このように語ります。

「僕たちはたまたま生まれてきた環境がよかっただけで、どんな環境に生まれるかは選べません。スタート地点に立ちたくても立てない人もいれば、親に育児放棄されている子どももいます。同じ日本に住んでいて同じ言葉を話している人でも、一方ではこれだけ食品が余っていて、もう一方ではこれだけ食に困っているというのはやっぱり不条理だなと。」

「人間は、問題があることを知っていれば何とかしたくなると思うのですが、私たちは義務教育が終わると成長や教育のレベルに応じて進む道が分かれていくので、普段は会わない人も増えていきますよね。そのようにして困っている人から遠のくことで、意識が低くなってしまうのかなと感じます。」

大阪市内の施設に食品を寄贈する高津さんの写真

(様々な施設に食品を寄贈する高津さん。※画像提供:日本もったいない食品センター)

高津さんによると、もったいない食品センターの活動も子ども向けの支援が圧倒的に多く、子どもが喜ぶお菓子は人気があるとのことです。

毎日たくさんの食品が捨てられている一方で、今日の食事にありつけず、貧困にあえぐ人たちもいる。まずはこの現状をしっかりと受け止めることが、問題解決に向けた第一歩となります。

経済:食品ロスが、大きな経済損失を生んでいる?

最後のポイントは、経済損失です。食品ロスは環境や社会にマイナスの影響をもたらすだけではなく、経済的観点から考えてもとても「もったいない」のです。

もったいない食品センターの高津さんは、食品ロスは「仕入れまたは生産コスト」と「廃棄コスト」の二つの経済的損失をもたらすと解説します。

「仕入れまたは生産コスト」と「廃棄コスト」の説明イラスト
「仕入れまたは生産コスト」と「廃棄コスト」の説明イラスト

(※画像提供:日本もったいない食品センター)

一つ目の「仕入れまたは生産コスト」については、農林水産省のデータ(外部サイト)によると、2016年度に出荷された食品(粗食料+加工用)は8,088万トンで、製造品出荷額は38.1兆円(食料+飲料)。そのうち、食品廃棄物は2,759万トン(廃棄率33%)で、食べられるのに捨てられた食品ロスは643万トン(ロス率23%)となっています。38.1兆円の価値がある食料のうち3割以上が廃棄されているという事実を知るだけで、どれだけ大きな経済損失があるかがよく分かります。

食品廃棄物と食品ロスの割合表
食品廃棄物と食品ロスの割合表

(※画像提供:日本もったいない食品センター)

また、二つ目の「廃棄コスト」については、高津さんの試算によれば、環境省や自治体が発表している廃棄物の処理費用を基に推定すると、私たちは食品ロスの廃棄コストとして年間一人あたり約1,431円を負担しているとのこと。

(※画像提供:日本もったいない食品センター)

この個人の費用負担を国全体として見てみると、日本では食べられる食品を廃棄するために毎年約1,811億円もの税金が投入されているという計算になります。例えば、食品ロスの割合を23%から15%に減らすだけで、単純計算すると約630億円もの税金を異なる用途に活用できるようになるのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。「学んで完食。」第2回目は、「なぜ食品ロスが問題なのか」について、環境・社会・経済という3つの視点から学びました。次回は、「なぜ食品ロスが生まれるのか?」という問題の根本原因について掘り下げていきます。次回もぜひお楽しみに!

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(2021.11.01)

高津博司さんの写真

高津博司さんNPO法人日本もったいない食品センターの代表理事

  • 1978年

    愛媛県松山市で生まれる

  • 1996年

    神戸市の高校を卒業後、海上保安庁に入庁

  • 2005年

    同庁を退職し、総合商社を設立 ※現在も経営中

  • 2015年

    総合商社の仕事を通じて、食品ロスの現状を知る。同年、国内でも食品が必要な要支援者が多数いることも知る。

  • 2016年

    現活動の前身として、総合商社で食品ロス削減、食料支援を行い始める。

  • 2017年

    商社で行っていた慈善活動などをNPO法人として引き継ぎ、現在に至る。

  • 2019年

    大阪市福島区において、ecoeat一号店をオープンさせる。

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どこにでもあるものより、なかなかないもの。
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大事に生まれたものは、大事にしたくなるものです。
そうだ。こだわりは、ごちそうなんだと思う。
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