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実はこんなに深刻!?食品ロスは「なぜ」問題なの?タイトル
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分かるようで分からない食品ロスの現状や問題点、その原因や解決策について、食品ロス削減と貧困問題に取り組むNPO法人日本もったいない食品センターの代表理事を務める高津博司さん(詳細プロフィールはこちら)と一緒に学んでいくコーナー「学んで完食。」

第3回目となる今回は、「『もったいない』と分かっていても、食品ロスは『なぜ』起こってしまう?」というテーマです。

農林水産省が2021年11月に公表した最新データ(外部サイト)によると、2019年の日本の食品ロス量は合計570万トンで、内訳は、製造や卸、小売などから出る事業系食品ロスが309万トン、家庭から出る家庭系食品ロスが261万トンとなっています。

今回は、事業系と家庭系それぞれの視点から、食品ロスが出てしまう理由について学んでいきます。

事業系食品ロスが出る理由「3分の1ルール」

まずは、食品ロスのうち全体の半分以上を占める、事業系食品ロスが出る理由について見ていきます。企業の立場で考えれば、食品ロスはそのまま経済的な損失につながるためできる限り減らしたいというのが本音のはずです。それなのになぜ、ここまで多くの食品ロスが生まれてしまうのでしょうか。

事業系食品ロスが発生してしまう原因の一つとしてよく挙げられるのが、消費者・流通・メーカーの3者が賞味期限を3等分し、メーカーから流通、流通から消費者への食品の納入期限をそれぞれ賞味期限の3分の1以下にするという日本独特の商慣行、通称「3分の1ルール」の存在です。

例えば賞味期限が3カ月の食品の場合、メーカーや卸は製造日から1カ月以内にスーパーやコンビニなどの小売に食品を納入し、小売店は1カ月以内に消費者に食品を販売できるように努めます。賞味期限まで残り1カ月を切っても販売できなかった食品は、値引き販売される一部の商品などを除いて店頭から撤去・廃棄され、食品ロスとなってしまいます。

3分の1ルールの図。メーカー製造日から卸売・小売店への納品期限まで1ヶ月、納品期限から店頭販売の販売期限まで1ヶ月、賞味期限まで1ヶ月で店頭から撤去・廃棄される。
3分の1ルールの図。メーカー製造日から卸売・小売店への納品期限まで1ヶ月、納品期限から店頭販売の販売期限まで1ヶ月、賞味期限まで1ヶ月で店頭から撤去・廃棄される。

1990年代から生まれたこの暗黙のルールにより、食品のサプライチェーン上では本来まだ食べられるはずの食品が大量に廃棄されているという現状があります。そこで、近年では大手小売チェーンらを中心に3分の1ルールの緩和が進められているほか、メーカーの中には賞味期限の表示形式そのものを「年月日方式」から「年月方式」へ切り替えることで少しでも廃棄を減らそうとする動きも出てきています。

日本もったいない食品センターの高津さんは、3分の1ルールのような商慣行が生まれる背景には、食品のサプライチェーンにおいては消費者を頂点として常に「買う」側が強いという構造的な問題があると話します。

高津さん「食品メーカーの立場としては、経済的に効率がよい生産ロットというものがあるのですが、当然ながらそのロット通りに商品が出ていくわけではありません。また、商品をまとめて買ってくれるのは大手の小売チェーンとなるわけですが、3分の1ルールを守ったうえで小売店からの注文にすぐに対応できるように在庫を用意しておくとなると、いくらシステムで予測をしたとしても悪天候だったなどの理由でどうしてもロスが出てしまうのです。」

「また、小売店の立場としては、どのお店も共通して努力しているのはやはり品ぞろえですよね。例えば、同じコンビニでも一度『あそこのコンビニは全然お弁当がないよね』と思われてしまえば、消費者は他のコンビニに行ってしまう可能性があるわけです。」

「そうしたことを考えると、小売店としてはできる限り全ての商品を一つずつは棚に置いておきたいとなるわけですが、何が売れるかを100%予測することはできないため、常に一定の量を用意しておく必要があります。小売に対してはやはり消費者のほうが強い立場にあるので、消費者の希望に答えようとすると、結果として食品ロスが生まれやすい売り場になっていくのです。」

メーカーや卸は小売のニーズに応えるために余剰の在庫を抱え、そして小売は消費者のニーズに応えるために豊富な品ぞろえを維持し、結果として食品ロスが生まれているのです。高津さんは、この事業系食品ロスを減らすためには、消費者の意識も重要だと指摘します。

高津さん「消費者が常に品ぞろえの充実したよいサービスを求めるのは仕方がないとは思うのですが、棚の商品が少ないとき、『このお店は品ぞろえが少ないからもう二度と来ない』と思うのか、残っている商品の中から『まだ残っていてラッキー』と思って買うのかでも、結果は大きく変わってくるのではないでしょうか。」

事業系食品ロスと聞くと、私たちはついその責任を企業に押しつけてしまいがちですが、実はその根本的な原因の一つには、「いつお店に買い物をしにいっても常に豊富な品ぞろえであってほしい」という消費者の過剰な期待もあるということを私たちは認識する必要があると言えるでしょう。

さまざまな施設に食品を寄贈する高津さんの写真

(さまざまな施設に食品を寄贈する高津さん。※画像提供:日本もったいない食品センター)

家庭系食品ロスが出る理由「正しい知識の不足」

一方で、家庭から出る食品ロスはどのような原因で発生しているのでしょうか。家庭系食品ロスの主な原因としては、野菜や果物の皮などを食べられる部分まで廃棄してしまう過剰な除去、買いすぎや作りすぎによる食べ残し、賞味期限や消費期限切れによる廃棄などが挙げられますが、高津さんが根本的な原因として指摘するのは、前述した賞味期限や消費期限の違いや、正しい保存・保管方法などに関する「知識の不足」です。

高津さん「根本的に賞味期限が切れたら捨ててしまうという人が多いのですが、これは知識不足ですよね。逆に、一度開封した後はたとえ賞味期限が残っていたとしても消費期限に変わったぐらいのつもりで早く食べないといけないわけですが、そういう人たちは、賞味期限が残っているからと思って食べてしまったりするのですが、これは危険です。」

賞味期限とは、袋や容器を開けないまま、書かれた保存方法を守って保存していた場合に、品質が変わらずに「おいしく食べられる期限」のことを指します。スナック菓子やカップ麺、ペットボトル飲料など、消費期限に比べていたみにくい食品に表示されており、この期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではありません。

一方の消費期限は、袋や容器を開けないままで書かれた保存方法を守って保存していた場合に、「安全に食べられる期限」のことを指します。お弁当やサンドイッチ、ケーキなどいたみやすい食品に表示されており、大体は5日以内に設定されています。消費期限を過ぎた食品を食べることは健康上のリスクがあり、避ける必要があります。

賞味期限と消費期限のイメージ。消費期限は早く悪くなるもの。賞味期限は劣化が比較的遅いもの。
賞味期限と消費期限のイメージ。消費期限は早く悪くなるもの。賞味期限は劣化が比較的遅いもの。

また、消費期限も賞味期限も、あくまで「袋や容器を開けないで、書かれた通りに保存していた場合」のおいしさや安全性が約束されている期限なので、一度開封した食品は、期限に関係なく早めに食べることが重要となります。

高津さん「私たちは数字を真面目に意識しすぎるところがあるのですが、賞味期限は切れてもすぐに食べられなくなるわけではないですし、逆に期限が残っていたとしても開封してしまえば、だめになる場合もあるのです。」

賞味期限や消費期限に限らず、食品の過剰除去についても「知識不足」は当てはまるでしょう。野菜や果物の皮、動物の尻尾や頭など、一見食べられないと思い込んでいる部分も、調理方法次第ではおいしく食べることができるのですが、その方法を知らないがために捨ててしまっている人も多いのではないでしょうか。

賞味期限や消費期限、保存方法、調理方法など、食品に対する正しい知識を持つこと。それこそが、家庭から出る食品ロスを減らすための第一歩だと言えます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。「学んで完食。」第3回目は、食品ロスが発生してしまう理由について、事業系食品ロスと家庭系食品ロスという2つの視点から学びました。次回は、今回学んだ食品ロスの発生原因も踏まえて、食品ロスを減らすための具体的な解決策について学んでいきます。次回もぜひお楽しみに!

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高津博司さんの写真

高津博司さんNPO法人日本もったいない食品センターの代表理事

  • 1978年

    愛媛県松山市で生まれる

  • 1996年

    神戸市の高校を卒業後、海上保安庁に入庁

  • 2005年

    同庁を退職し、総合商社を設立 ※現在も経営中

  • 2015年

    総合商社の仕事を通じて、食品ロスの現状を知る。同年、国内でも食品が必要な要支援者が多数いることも知る。

  • 2016年

    現活動の前身として、総合商社で食品ロス削減、食料支援を行い始める。

  • 2017年

    商社で行っていた慈善活動などをNPO法人として引き継ぎ、現在に至る。

  • 2019年

    大阪市福島区において、ecoeat一号店をオープンさせる。

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