有機農家の情熱が根づく「ほんもの」を知っている町
有機農家の情熱が根づく「ほんもの」を知っている町

ふるさと納税 - 宮崎県 綾町 -

ユネスコエコパーク認定
  • twitterでこのページをシェア
  • facebookでこのページをシェア
  • LINEでこのページをシェア

自然の循環のなかにある人々の暮らし

宮崎県の中西部に位置する綾町は、自治体としてはじめて「有機JAS登録認定機関」に登録された町。また「自然生態系農業の町」をスローガンに官民、町全体が一体となって、有機農業を行なっている自然環境、人に優しい町です。綾町では、有機栽培を「あたりまえ」とする有機農家さん、生産者の情熱と想いが根幹を支えています。

オーガニックの綾町のあゆみ

  
Organic Town - Aya
  
Organic Town - Aya

  • 1973年 一坪菜園の普及を実施
  • 1988年 全国初「自然生態系農業の推進に関する条例」制定
  • 2000年 「綾手作りほんものセンター」オープン
  • 2009年 「日本で最も美しい村」に登録
  • 2012年 「ユネスコエコパーク」に登録

人や環境に優しい「食」の大事さを伝えたい

綾・早川農苑 早川ゆりさん

「環境、土を守ることが大事。そのごほうびの野菜を感謝していただく。」綾・早川農苑」では、自然生態系農業を代弁するようなオーガニックビオトープがつくられています。食事や農業体験の受け入れもできる早川農園、そこにはヤギや鶏もいます。
「環境を守ることが有機農業の原点で、そこで育てられる野菜はごほうびで、そこからいただく野菜などのエネルギーで、人間はそこでどこまで貢献できるかという循環の中で生きていると思います」と笑顔で語られる早川さん。有機農業を始めた頃の数々の苦労が今は。
通年、紫蘇やネギ、大根、ナスなど季節によって多品目の野菜をつくられています。有機素材のジャム、味噌、有機野菜ピューレ、ごぼう茶など、商品化担当の大野さん達の手で有機食材を美味しく食べられる工夫がされています。予約制で有機野菜、釜炊きごはんなどの食事もあり、農業体験や研修もできるのが人気です。

画像:綾・早川農苑の看板
画像:かごに入れられた瑞々しいほうれん草
画像:畑に整然と並ぶ野菜
画像:瓶詰めされ並べられたジャム

農薬は「使えない」じゃなくて「使わない」

こおり農園 郡文則さん

「お天道様は見ているよって気持ちで有機農業をやっています。」 うちの野菜を待っている人のために美味しい有機野菜をお届けしたい、綾町の有機農家はみんなそんな気持ちでやっていますと優しい笑顔の郡さん。
土地を休ませることも大事にしながら、年間、露地野菜を中心に少量多品目の野菜をつくられています。夏は根の野菜中心にさつまいも、ごぼう、里芋、冬は葉物中心にレタス、娃白菜、ニンジンなどを栽培されています。土地を休ませつつ、年間ローテーションで栽培し、美味しい野菜づくりを心がけています。「綾は個人プレーじゃなくて、行政が入っているから有機農家ひとりひとりが意識を高く頑張れるんです。」とのこと。目に見えない努力をしてお客さんに美味しい野菜をお届けする責任を果たしたいと話します。

画像:畑のオクラ
画像:並べられた採れたての野菜
画像:かごに入った採れたての芋
画像:ビニールハウスの中で野菜を指差して微笑む郡文則さん

ニンジンきらいも好きになるニンジン

山口雅行さんご夫婦

「子どもにアトピーのアレルギーがあったから安全で安心の身体に優しい野菜を食べたせたかった。」 と有機農業をはじめた頃のことを語る山口さんご夫婦。綾町は奥さまのご出身で脱サラされて有機農家に。主につくられているのはニンジン。他には、いろんな種類のカラフルな大根、ロメインレタスなどをつくられているそう。
特に、「山口さんのニンジン」は、その味の違いは歴然で、甘くて濃く、遠方から大量に買いに来られる方もいるほど大人気。とても手がかかる有機栽培の野菜、苦労は草取りと害虫対策とのこと。「有機野菜をつくる過程を知ってほしい」と語る山口さん。
お二人の明るい笑顔がその苦労を上まわる喜びがそこにあると証明されています。

画像:畑
画像:並べられたニンジン(※これはイメージです)
画像:畑を眺める山口雅行さんご夫婦
画像:カブを片手に微笑む山口雅行さん

おいしい!畑でそのまま食べられる安心野菜

福重 龍さん(福じいさん)

「完全に綺麗な野菜をつくろうとは思っていないんです。」 と語るのは、お父さんから引き継がれた有機農家の福重さん。全部で22棟ものビニールハウスと路地で有機栽培をしています。
主に、ハウスで小松菜、水菜、ほうれん草を、路地でブロッコリー、キャベツをつくられています。ハウス栽培のみずみずしい有機小松菜は畑で生で食べらるほど柔らかく、シャキシャキの食感。モンシロチョウが飛び交う路地のキャベツ、ブロッコリー畑は虫も食べる安全な野菜の証拠。「虫食いは嫌がれるんですけどね。手をかけて育てているおいしい野菜を知ってもらいたい。」と有機野菜づくりの苦労をにじませつつも有機栽培への信念を感じさせる福重さん。別名「福じい」のネーミングで有機野菜や加工品などを販売されるユニークなアイデアマンでもあります。

画像:近くから撮影した葉野菜
画像:ビニールハウスの外観
画像:外の畑で育つ葉野菜
画像:ビニールハウスで育つ葉野菜

照葉樹林からの水、土壌の恵みで有機米づくり

岡元輝信さんご夫婦

「照葉樹林からの水とこの自然の恵みで今年も実りました。」 黄金色に輝く無農薬米 ヒノヒカリの前でそう話してくれた岡元さんご夫婦。無農薬でお米をつくっている農家さんは少ないのだとか。その中で、農薬や除草剤を一切使用せずに、有機米づくりに取り組まれています。岡元さんのお米は大人気で毎年余らないのだそう。
また、岡元さんの玄米は「綾玄米米粉グルテンフリーカレー粉」の原料として使われています。
有機原料を使った商品開発を行う「AYA100」と連携し、積極的に第6次産業化にも取り組まれています。
お米の他にも、甘藷(さつまいも)などの野菜も無農薬で栽培されています。

画像:黄金色の稲穂が並ぶ田んぼ
画像:鮮やかな色合いのさつまいも
画像:採れたてのさつまいも
画像:遠くを見つめる岡元輝信さん

語りつくせない綾町の魅力

綾町は、有機農業だけでなく、生産物すべてにおいて「自然に逆らわない生き方」が定着しています。日本一といわれる照葉樹林からの恵みの水、空気、土壌が、そこで生まれるモノたち、人たちが優しく、魅力的です。語りつくせない綾町の魅力の一片をお届けします。

在来種の蚕「小石丸」から紡ぐ日本古来の藍染

画像:工房で並んで微笑む秋山眞和さんと二上拓真さん
画像:工房で並んで微笑む秋山眞和さんと二上拓真さん

「ここだからできるんです。一番良い藍の色を追求したい。」 と語るのは「綾の手紬染織工房」の二上さん。秋山先生が綾町の森の中に工房を構え、養蚕、染め、絣や花織を一貫して工房の職人さんたちと行なっています。こちらの工房のこだわりの一つは養蚕から行なっているところ。最高の素材を求めたらどこも作っていなかったという「在来種の蚕、小石丸」。天女の羽衣と言われるほどに美しく、その艶、輝きは秀でています。次に「古来藍染」は、江戸中期からの化学的なものを一切使わない天然灰汁発酵。自然を汚さず、魚や虫などの生き物と共存できる原料のみを使っています。照葉樹林の恵みの澄んだ水、空気を吸い込んだ藍液は舐めても大丈夫とのこと。信頼ある素敵な師弟関係の秋山先生と二上さんに大切に引き継がれる伝統を感じます。

  • 画像:作業する二上さん
  • 画像:藍色に染まった絹
  • 画像:できあがった染織の布

奇跡のぶどう ワインづくりへの情熱

画像:ぶどう畑にいる香月克公さん
画像:ぶどう畑にいる香月克公さん

「いろんな種類のぶどうが混じり合うことで、個性的な奥深いワインができるんです。」 ニュージーランドで10年ワインづくりを経験していた香月さんが挑戦したのは、綾町でのオーガニックワインづくり。「香月ワインズ」のぶどう畑は生物多様性を大切にした自然栽培。畑には農薬や化学肥料などは一切つかわず、自然の力で約40種類のぶどうをつくっています。果実での無農薬、有機栽培はとても難しく、まさに「奇跡のぶどう」と命名できるほど。通常なら、約1~3種類のぶどうを組み合わせてつくるワインづくりにおいて、香月さんは多種類のぶどうを組み合わせ、奥深く忘れがたい極上のワインをつくりだしています。それも長年の経験の成せる技。ワイン製造場は、とてもモダンなデザインで大きなワイン樽や手動で絞る専用機械で丁寧に抽出、醸造しています。

  • 画像:香月克公さんのぶどう畑
  • 画像:ワイン製造場
  • 画像:香月ワインズのロゴ

地産地消で愛されるオーガニックカフェ

画像:仕事着で微笑むあさみ智子さん
画像:仕事着で微笑むあさみ智子さん

綾町の癒しのカフェ「カフェ山猫」。そのオーナーのあさみさんのこだわりのカフェでは、地産地消で体に優しいものを食べることができます。店内では地元のものをつかった加工品、玄米や米麹、有機食品などを買うことができます。店内は癒しの木の香りがするような雰囲気。
玄米発酵食をおすすめされているあさみさんはヴィーガン料理家であり、食を通じてオーガニックな世界を実現するための活動家でもあります。
綾町の有機野菜、食材がほんものの味を追求する人の手でさらに美味しく栄養を高めて、食べることができる場がここにはあります。

  • 画像:筆で書かれた完全無農薬の小麦粉の説明
  • 画像:容器に入れられ並べられた菜種油
  • 画像:カフェ山猫のロゴ

綾町が「有機農業の町」を
実現した理由

綾町役場 
農林振興課
湯浅係長

綾町の自然生態系農業への意識は、町民の健康を見直すため、行政が家庭での「一坪菜園」を勧め、その野菜の種の配布をしたことからはじまっています。その生産物が青空市場、そして今の「ほんものセンター」の直売所へとつながっています。
1988年に「自然生態系農業の推進に関する条例」が制定され、「綾町は有機農業に取り組んでいく」という方向性が確定。
自治公民館制度をとっていることで、町長の意志が公民館長へ伝わり、そして班長から町民に伝わることで、一体となった有機農業の取り組みをすることができています。皆が同じゴールを目指すことで「綾町」らしさが世代を超えて確立しています。
「私たちのやっていることは間違っていないので、食の安心安全、有機野菜の価値を消費者や子どもたちに伝えて行きたい。」と語られる湯浅さん。自治体、農家、町民が同じ方向、目標を持って有機栽培に取り組む綾町の魅力はここにあります。

正直な美味しさが揃う「ほんもの」直売所

画像:綾町ほんものセンターの外観
画像:綾町ほんものセンターの外観

綾町の中心的存在の「綾町ほんものセンター」。その命名の理由は、2代に渡る歴代の町長が「ほんものとは人を騙さない、嘘をつかない、自分に恥じない」というコンセプトのもと消費者にとっても販売者にとっても正直な市場を目指す意志ではじまっています。
ここでは綾町の季節の有機野菜や農産加工品、お惣菜、工芸などが数多く並びます。毎日夕方にはほとんど売り切れるほどの盛況ぶり。
「ほんもの」の理由の一つとして、「金、銀、銅」という印が各野菜につき、消費者が安心して有機野菜を選んで買うことができます。その印は、有機農業開発センターで有機農家さんから提出された栽培管理表を元に、農薬の有無や種類、回数の管理、肥料を確認し、そのレベルによって定められています。

  • 画像:綾町自然生態系農業認定制度について書かれた看板
  • 画像:綾町ほんものセンターで売られる柑橘類
  • 画像:綾町ほんものセンターで売られる栗

自然生態系を生かし育てる
綾町の魅力

寄付金の使い道の例

画像:綾町の一角の風景
画像:綾町の一角の風景
1、綾町の照葉樹林とユネスコエコパーク推進のための事業へ
日本最大級と言われる綾町の照葉樹林の維持保全、研究費に活用します。平成29年度は、宮崎大学をはじめとする学術研究機関との連携による調査・研究や、エコパークセンターの整備に活用しました。
2、綾町が取り組む自然生態系農業に関する事業へ
全国でもめずらしい自然生態系農業を推進する町を行政としてのサポート事業に使います。平成29年度は、町内の農業生産者が経営や栽培技術を学ぶための農業スキルアップ講座や、綾町農業支援センターの整備などに活用しました。
3、綾町の産業観光やスポーツ、青少年育成事業、高齢者を敬う福祉事業へ
全国でもめずらしい自然生態系農業を推進する町を行政としてのサポート事業に使います。平成29年度は、町内の農業生産者が経営や栽培技術を学ぶための農業スキルアップ講座や、綾町農業支援センターの整備などに活用しました。