豊洲市場在住
食のプロデューサー
井上 真一
2004年にスタートした豊洲市場ドットコム*。
以来、100年以上続く店舗がひしめくなか、
市場の新参者として過ごさせてもらっています。
世界中から人と食品が集まる市場の面白さと、
「肉食系」の男女が集まる市場で、「雑食系」の私が
どう過ごしているかをお伝えしたいと思います。
*旧築地市場ドットコム
*豊洲市場ドットコム(外部サイト)
豊洲市場在住 食のプロデューサー
井上真一
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美食の最高峰「天然とらふぐ」のお取り寄せ
われわれは、「お取り寄せをして、家でおいしいものを楽しんでもらおう」というビジョンを元に、豊洲市場を拠点に全国で食材探しをしております。 たかが「お取り寄せ」といっても、食材によって難易度があるなと思っていて、順を追ってチャレンジしてもらいたいと思っています。一番簡単で誰でも楽しんでもらえるのが果物かなと思います。百貨店でしか見なかったようなものとか、ほとんど流通しない海外の珍しいものとか、同じようでいて等階級や産地によって味が違うものとか、そういった果物はお子様でも包丁を握ったことがない男性の方でも、幅広く楽しんでいただけます。
(2021.03.25)
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プロしか扱わない貝の奥深い魅力
私のように仕入れを仕事としていましても、旬の時期がいつだったかわからなくなることがあります。 年に1度しか食べないようなフグや鱧なんかは良いとして、カツオなんかは上ったり下ったりして結構長い期間売場にありますし、タイなどは養殖もあるので余計にわからなくなります。ましてや貝の旬なんて、一般の方は考えたこともないのではないでしょうか?
(2021.02.25)
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みかん業界にイノベーションの波がくる。
イノベーションという言葉がありますが、私がいる市場や、市場とつながる生産地ではなんとなく縁遠いと感じる言葉です。農産物はお天道様次第で豊作にも不作にもなり、それは人の手ではどうにもコントロールできない部分で、いくらスマート農業的なIT技術が進んでも自然の力にはあらがう事ができません。自然は偉大であり脅威でもあり、人が変えられるものではありません。人間は本当に小さなものなのだなと感じる事があります。
(2021.01.25)
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部位によって変わるおいしさ。豊かな食の楽しみ方。
牛肉を食べる時には、部位ごとに分けて購入するのが普通だと思います。ロースとか、バラとか、モモだとか。焼き肉屋なんかに行くとそれがさらに細分化され、モモならウチモモ・ソトモモ・ランプ・イチボ・シンシンなどに分かれています。こだわった店だと、その部位ごとで切り方を細かく変えていて、同じ肉でもこんな味が違うのかと感心させられます。
(2020.12.25)
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鮮度が命?熟成させた方が良い? うまい魚の条件とは
魚は、魚自体が持つうまみや脂の違いが「味」に大きく影響するのですが、私がそれ以上に大事だと感じるのが「鮮度」です。うまい鮨(すし)を出す店は、魚屋や市場のような臭いがまったくしません。これに気づいた時は驚きました。「魚=臭い」というのは、なんとなく、当然なのかなと思っていましたから。
(2020.11.24)
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養殖魚が値下がりし、ウニが売れた?コロナ禍の市場と流通の新たな動き
新型コロナウイルスの感染拡大によって、飲食店の休業が続き、その影響は飲食店へ卸している市場の大卸や仲卸にも影響が出ています。今回は私が住む「豊洲市場」がどのような状況なのかお伝えしたいと思います。すべてがデータを元にお話ししている訳ではなく、日々のセリ人さんや仲卸さんとのやりとりから得たお話です。
(2020.10.30)
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地域や時期でこんなに違う!多面体な「桃」の魅力
男女って、一緒に社会生活を送っているから同じような考えでいるんだろうとずっと思っていたけれど、結構、違う考え方や価値観を持っているんだなと知ったのはわりと最近です。同じように桃の好みなんてみんな同じだろうと思っていたのに、思いのほか日本各地で違っているようです。
(2020.10.13)
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江戸前が最高!そう言える、数少ない魚「穴子」の謎
魚の文化は鮮度の文化とも言え、流通が発達してなかった頃においしいと言われていた魚と、今現在、高い評価となっている魚は変わってきています。遠方にある食材は、鮮度劣化(つまり腐る)の問題で、いかに天下の江戸・東京においても食べる事ができない。あるいは、食べても味が悪い。
(2020.09.18)
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一流のネタを使って家で寿司を握る!「家寿司」プロジェクト(2)
これまでの復習をしますと、寿司のおいしさは「酢飯とネタと握り方」に分解され、そのうち、酢飯のおいしさが寿司の味の50~70%を占めるといわれています。ただし、酢飯は米の状態や気温、湿度といった環境によって変化が激しい。そこで、家で握る寿司では、完璧主義を止め、80点の酢飯を目指そうという話を前編でしました。
(2020.09.04)
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一流のネタを使って家で寿司を握る!「家寿司」プロジェクト(1)
私の娘が6歳になり、そろそろと大丈夫かと、地元では有名な回転しない鮨(すし)屋に行きました。この店はカウンター席とテーブル席とがあって、普段はカウンターに座るのですが、今回は子供がいるので迷惑にならないようにテーブル席を予約しました。注文をとる女性がやってきて、大人はいつも通りおまかせを注文。
(2020.06.26)
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家でこそ食べるべき! プリップリの車海老 その魅力と食べ方
市場で仕事をしていて魚の価格を知るようになると、いざ料理屋に行ったときに「高け~~~」と、思ってはいけない事を思ってしまう事があります(ごめんなさい)。ましてや産地市場にいくと、「10kg位の箱で300円」というような魚もあったりして、料理や食材と価格のバランスについて疑問を抱くようになります。
(2020.05.01)
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死から逃れるための感覚?「おいしさとは何か」の証明
太古の昔は、おいしさってもっと単純なものだったはずです。どうして、ここまで変わったのか。神聖な食材があったり、崇拝されるシェフがでてくるようになったり、特別な意味を持ちだしたのはなぜでしょう? 今回は「おいしさ」の根っこにあるものは何かについて考えてみたいと思います。
(2020.04.17)
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市場から生まれる
「作る人」と「買う人」のつながり市場は網の目のように地方と首都圏をつなげています。大ざっぱに青果物を例にとって説明すると、地方ごとに「JA」が管理する「集荷場」というのがあって、そこに地域の生産者さんが野菜や果物を持ち込み、それが大きなトラックに詰め込まれ、豊洲などの市場に運ばれていきます。
(2020.02.14)
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「ブリブリの刺身」を求める
鮮度へのこだわりが作り上げたもの豊洲市場は、徹底した衛生管理・温度管理をしている閉鎖型の施設です。市場内は1年中一定の温度に保たれ、豊洲市場を通じて、日本中のお店に鮮度の良い海産物や農作物が広がっていきます。この巨大なスペースを一定の温度に保つには、それ相応のコストがかかります。そのリターンとして得たかったものが「海産物や青果物の鮮度」です。
(2019.12.19)
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本能を呼び覚ます? 究極の天然モノ「マツタケ」の魅力とは
養殖モノが良いのか、天然モノが良いのか? 市場では日常的な話題です。本マグロはすでに養殖が天然を上回るなど、水産物の養殖の歴史は案外古いです。しかし、それよりも圧倒的な歴史を誇り、養殖(栽培)が主となっているのが「農作物」です。というよりも天然物ってあったっけ? という状態ですよね。
(2019.11.29)
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おいしさって何?
日本人のDNAに深く刻み込まれたうま味を持つ魚、カツオこんな仕事をしていると、「おいしいお店や食材を教えて」と聞かれる事が多くあります。先日、その期待に応えようとしすぎて暴走し、すてきなレディ2名と行く店に新宿の路地にあるクモとサソリを出す店をセレクトしてしまい、そのSNSの投稿を見た別の友人から「ありえない」と叱責(しっせき)を受けました。
(2019.11.18)
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「異質」な市場?
豊洲市場の住民という生き方豊洲市場という言葉を聞くと、まず思い浮かぶのは「食の宝庫」だということでしょうか。 でも、「豊洲産」の魚や野菜はありません。豊洲はタワーマンションがひしめき、対岸の晴海や有明にはオリンピックの選手村の工事が進み、近未来的な乗り物「ゆりかもめ」が頭上を走る。そんな場所です。
(2019.10.29)