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「銀鮭の父」を継ぐ若き漁師 国産サーモンを磨くパイオニア精神

脂がクドくなく、ほどよくのったサーモン。色の赤みが食欲をそそり、しかも新鮮。 宮城県女川町の「マルキン」が提供する国産サーモン(銀鮭)は、輸入サーモンにはない旨さの秘密があります。実はマルキンは、銀鮭の養殖を先駆けて始めたパイオニアです。創業の祖父と孫にあたる20代の若手が、他社の追随を許さない魅力に、さらに磨きをかけています。

「銀鮭の父」が作る、旨みとろける国産サーモン

トロリとした脂が、舌にとろけます。
豊かな風味が香り、クドくなく、刺身で何枚でも食べられます。
それがマルキンの、国産サーモン(銀鮭)の刺身です。

80歳をすぎた社長、鈴木欣一郎さんは、宮城県女川町で初めて銀鮭養殖を始めました。国内での養殖は、宮城県北部の志津川(現・南三陸町)の漁師・遠藤昭吾さんが始めました。欣一郎さんは教えをこい、自社で加工まで担う一貫体制を初めて築きました。まさに欣一郎さんは「銀鮭の父」なのです。

欣一郎さんは当時について「遠藤さんには3度お願いにいっても相手にされなかったが、あきらめなかった。誰もやっていない仕事だから、情熱をかたむけることができた」と振り返ります。

欣一郎さんのモットーは「我が家の魚をつくる」ことです。「『みんな一緒に』よりも、『我が家の魚を作る』という気持ちが大事だ」といいます。

当時から今でいう「六次産業化」を築いた欣一郎さん。今も毎日浜に出て、魚の状態を確認します。「生涯現役」の漁師が、折り紙つきの味を作り上げています。

「鮮度、脂の乗り、色」そろうサーモン

生の刺身で美味しく食べられるのがマルキンの強みです。秘訣は「鮮度、脂の乗り、色合い」だと20代の若手常務、真悟さんは説明します。

特に鮮度のよさは、ピカ一です。「養殖だけでなく、加工まで一貫した体制があるのは、宮城でうちだけ」と真悟さん。朝5-6時に養殖いけすから成長した銀鮭を獲り、朝6時半ごろから加工作業に入ります。「ギリギリのタイミングで水揚げして、すぐ加工します」と、水揚げから1-2時間で出荷の状態に。四国までなら翌朝に届く体制が整っています。

脂の乗りと色合いにもこだわります。「お客さまは年齢が上がると、脂肪が多すぎる刺身は手にとらなくなります。脂肪分をほどよく抑え、さらに発色よい状態を常に目指します」。

そのためには「エサが決め手」。エサは良質な魚油を使い、ビタミンやミネラルが豊富なビール酵母を加えたもの。ビール酵母を食べると、魚は健康な体が作られるといいます。「色はアスタキサンチンという色素の量で決まります」といい、アスタキサンチンの量で発色を調整します。アスタキサンチンは注目の色素で、疲労回復を早め、肌の保水効果など美容にもよいとされています。

海外産サーモンは、空輸で日数が経ったり、冷凍を解凍したりして味に影響します。マルキンは、海外産サーモンにはない価値を提供しており、今年は大手回転ずしチェーンとの取引も始まりました。生食(刺身)で安全でおいしく食べるノウハウがそろう証です。

地元で広まらなかった銀鮭

ただ「サーモン」の一般的イメージは、ノルウェーなど海外産です。銀鮭養殖では宮城県は全国9割を誇る圧倒的な一大産地ですが、海外産がスーパーなどの店先を占め、「サーモンは海外」が現状です。国産銀鮭は、知名度アップがまだまだ必要です。

真悟さんは「養殖初期はエサ事情も発展途上で、臭いが残る時期がありました。その印象が流通など業界内にまだ残っています。また、夏が旬ですが、夏しか獲れない期間限定商品であることも要因」と話します。

真悟さんは「年間換算すると、鯛に匹敵する養殖量がある魚なのに、もったいない。広く食べてもらいたい」と考えています。ノルウェー産サーモンを上回るべく、エサの改善も毎年のように行い、品質向上に余念がありません。また、エサがどこで作られたか履歴もわかるしくみがあり、安全対策も万全です。

受け継がれるパイオニア魂

真悟さんは、ちらしやポップを活用して、銀鮭の食べ方を提案しています。「刺身や焼き物としての切り身もいいですし、フライパンなどで簡単に作れるちゃんちゃ焼きで食べてもおいしいですよ」。

また「地元の漁師同士のつながりも重要」と、新しい試みを始めています。安全安心なエサを地元の漁師に提供して、代わりに魚を買い取るしくみです。

そして真悟さんは、海外にも目を向けています。「付加価値を高めて売り、儲かるカッコイイ漁師を目指したい」と夢を語ります。

マルキンは、欣一郎さんから親子3代にわたり、「負けない商品を作る」パイオニア魂を常に発揮してきました。三陸漁業の新たな創造と、次世代のパイオニアになるべく、奮闘はこれからも続きます。

真悟さんがお届けする「逸品」