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「作り手と買い手を幸せに」 こだわり素材のストール

27歳で「IIE」代表を務める、会津出身の谷津拓郎さんは、地域の伝統素材・会津木綿を使ったストールを生み出しました。地域の技術を作りやすく『分解』することで、避難生活を送る方々も含め、一人一人が取り組めるようになり、次の世代につながるものづくりのカタチに挑戦をしています。

※東北エールマーケットでは、リニューアル前の「復興デパートメント」記事の中から、今も伝えるべき好評だった記事を再掲出しています。この記事は2014年3月に公開されました。年齢や肩書きは当時のままです。

伝統素材に「作りやすい」技術を加える

濃淡の糸を組み合わせた縞模様が特徴の会津木綿。IIEの商品は伝統の素材を活かし、現代的なセンスを取り入れ製作されています。「長い年月を超えて愛され続けてきた会津木綿は、丈夫で一年中使えて肌になじみ、手軽に洗えて使いやすいです」と語るのは代表の谷津さん。

メイン商品のストールは"作りやすさ"にこだわったといいます。「仮設暮らしの女性の手仕事になればとミシンの内職から始めました。しかし、ある女性から『作業が難しくて辞めたい』と相談を受け、とても胸に刺さりました。避難されている方に貢献できればと思い始めたのに、技術の有無で仕事にできないのは違うなと。そこで、ミシン作業がなく、他の製品と比べて取り組みやすいストールを選びました」。

「地域のすばらしい素材を活用し、ストール以外にはブックカバーやピンバッチなども作っています。染型紙『会津型』や革製品など他の地域素材を活かした商品も考えていますよ」。

避難生活、作り手の思いをカタチに

避難されている方々など、地域の女性がそれぞれの生活状況に応じた仕事をできるように作業を依頼しているといいます。大熊町から移ってきた広嶋めぐみさんが行うのはフリンジ作り。「独特の立体感を出す横糸を、端から約7センチでほどき、生地の先を1センチ幅で結んでフリンジを作ります。最初は4時間かかった仕事も、1年経ち、今は約45分でできます」。

谷津さんは今後の広がりも見据えています。「現在、約10人の作り手が参加しています。会津から別の地域に引っ越した後も、その場所で作業を続ける人もいますよ。いずれふるさとに戻ってもお仕事を続けられるしくみになっています」。

「次世代につなぐ」ものづくり

会津の伝統素材・会津木綿を使ったものづくりを行うIIE。そこには仮設住宅居住者の内職事業としてだけではなく、もう一つ欠かせないテーマがあります。「会津木綿の製品を製作するだけではなく、次世代につなぐものづくりの"しくみ"を作りたいと考えています。目標の一つは農産物の移動販売が生業としていた私の祖父母。60年もの間、商売以外の面も含め、お得意さんと付き合い続ける関係はすごいと思います。高度成長で分業化される以前の営みや精神性を大切にしたいですね」。

谷津さんは、親から子供世代へと受け継ぐだけでなく、人と人とのつながりにも改めて目を向けています。「だからストールも、同じ商品なら"買わずに友人に借りて"と考えていますよ。もし買うなら別の色を買い、友人と『その色、いいねえ』と交換するのって面白いですよね。消費だけでなくて、一緒に使ったり、贈ったりする。作った人、買った人に加えて、その友人も幸せにしたい。"おすそわけ"ならぬ"お福(福島)わけ"ですね」。

伝統の素材が日々の生活になじむように、作り手と使い手を新たにつなぐしくみをデザインするIIE。かつて30軒以上あった会津木綿工場(織元)は今ではたった2軒といいます。先人が築いた伝統文化を土台としながら、現代的センスと避難生活をおくる方々の想いをも"つなげ"、東北発の「かっこいい」新しい価値を作り出そうとしています。