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エルマの読みもの

一流のネタを使って家で寿司を握る!
「家寿司」プロジェクト(2)

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豊洲市場「住民」の井上です。


2004年以来、市場の新参者として過ごさせてもらっています。
世界中から人と食品が集まる市場の面白さと、私が日々どのように過ごしているかをお伝えしていきたいと思います。


これまでの復習をしますと、寿司のおいしさは「酢飯とネタと握り方」に分解され、そのうち、酢飯のおいしさが寿司の味の50~70%を占めるといわれています。(先日読んだ本では「90%」と言っている方もいました。)


ただし、酢飯は米の状態や気温、湿度といった環境によって変化が激しい。そこで、家で握る寿司では、完璧主義を止め、80点の酢飯を目指そうという話を前編でしました。


とはいえ、酢飯はネタの味を引き立てる名脇役です。やはり主役は「ネタ」です。


■前編の記事はこちら
一流のネタを使って家で寿司を握る!「家寿司」プロジェクト(1)

プロの料理人と同じやり方で「いいネタ」を選ぶ

ネタのうまさは、1.魚自体のうまさ 2.鮮度 3.下処理 の3つで構成されます。

魚がうまくとも鮮度が悪いとどうしても臭みが出ます。これが気になりだすと本当に気になる。鮮度の良いうまい魚でも、下処理・ひと手間で味が変わります。ここは、おいしさにかなり左右されるので、職人技に頼りたいところ。

いずれにしても、まずは「良い魚」がないと話になりませんが、果たして、素人にその目利きができるのか?

一方で、ここでお伝えしておきたい情報があります。プロの料理人さん(職人)でも毎日豊洲には通っていません。仲卸さんと信頼関係ができれば、その料理屋さんにあったものを仲卸さんが選んでくれるのです。

昔の本などを読むと「仲卸にだまされるな」的な事が書いてあったりしますが、信用が商売の仲卸はそんなことしません。

つまり、仲卸さんに一流の鮨(すし)屋・料亭に卸しているものを選んでもらえば「1.魚自体のうまさ」=良いネタの確保は大丈夫。(市場で仕事していてよかった!)

「良い魚」の条件、「鮮度」を維持するという難題

良い魚は鮮度によって味が変わります。鮮度が悪いと臭いが出るので、無意識に食が進まなくなります。

今は市場に一般の方は入れません。それなら「ネットで購入しよう」と思っても、配送だと届くのが1日か2日後になるので、鮮度だけを求めるならどうしてもネットでの購入は不利になってしまいます。

そう思ったのですが、実はそうでもない事がわかりました。語弊がある言い方ですが、獲れたての魚は案外おいしくないのです。

うまみ成分は少し時間がたってから出るので、獲れたてはイマイチおいしくない、というのは、市場ではみんな知っている事実です。それと、鮮度というのは、上手に魚を締めて温度管理をすれば保たれます。

一概に、新しい=おいしいではないのです。つまり、鮮度劣化しづらいものを選べば良いわけです。その代表的なものが「マグロやウニ」です。そう、みんな大好きマグロとウニは、通販向き!

さらに、今は魚の死後硬直を遅らせる「神経締め」という技法が発達し、「冷凍技術」も進歩しています。先日、市場の卸さんと話をしていても「正直、生との違いがわからなかった」と言っていました。

いけます。これで鮮度問題は何とかなります!

さらに難易度が高い「下処理」をどうするか問題

下処理……。これは、また難易度が上がります。1週間に1度魚をさばく程度では、越えられない壁があります。

いや、正確にいうと熟練の技というよりも、プロの職人は「手間のかけ方」が違うのです。一番わかりやすいのが「シンコ」ですが、あの小さな魚をさばくだけでも気が遠くなるのに、「湿度・気温で締め方を変える」という恐ろしい事が行われています。

ここで、私の完璧主義ではない柔軟な性格が吉とでます。

「そうだ、切るだけで済む魚だけを握ろう」

何もしなくて良い代表的な魚がウニです。ウニは何しろ酢飯にのせるだけなので、良いものを仕入れられたらそれだけで十分おいしくなる。(あくまで僕個人の意見です)

魚2

さらに、ある老舗の鮨屋の半生をつづった書籍に、素晴らしい一文が書いてありました。「カツオは1日に1匹使い切れないから、仲卸に無理言って半身だけもらっています」

マグロは余っても数日かけて使えば何の問題もないですが、カツオはそうもいかないので、最高のものを仕入れるために、何本も切ってもらった中で最高の半身を仕入れるのだそうです。

であれば、同じように無理言って半身をもらう事ができるのではないか? 僕は姉がいる弟なので、人にものを頼むのはとても上手です。ダメかもしれないけど、頼んでみることにしました。

さらに、仲卸さんと貝について話をしていたら「赤貝はさばいたものの方がうまいんだよね」と言っていました。これなら、探せば「さばかなくて良い魚」は結構ありそう。

マネジメントの基本、「自分でできない事は人に頼む」。すぐに面倒くさくなる職人気質じゃない私の性格を生かした仕入れ。これが鮨屋なら殴られているでしょうが、幸い私は商人なのでこれで大丈夫!

ついに、家で寿司を握る! その難易度とはいかに

おさらいをすると、おいしさの重要度は酢飯が50~70%。残りがネタと表現している人もいるのだが、正確な割合は分りません。

でも、寿司職人は夜も遅くまで営業しているだろうに、早朝の豊洲まで出向き、ネタの目利きに時間をかけているのを考えると、ネタの割合の方が多い気がします。

そうじゃなければ、野球選手が毎日バッティングをするように、仕入れの時間よりも握りの練習の方に時間をかけるだろう。となると、こんな感じでしょうか?

グラフ

いや、だけど…、実際に極上の酢飯とネタで頑張っても、すごい寿司を食べた時とは歴然とした差を感じます。なんというか、「バランスが悪い」んです。口に入れた時の一体感がなく、酢飯とネタがバラバラで多くはネタが口に残り、ご飯が先になくなります。

なるほど、つまりこうか。

グラフ2

酢飯とネタ、切付けと握り方は「掛け算」なんだ。

切付けと握り方は1つの「型」で、一度自分の型ができると、後はどんな食材を前にしてもなんとなくそのバランスがわかるのだと思う。酢飯とネタの日々変わる状態を見極め、自分の味になるようにどう切り付け握るのか、そのさじ加減が奥深さなんだとわかってきました。

ちなみに、コツの1つは「思ったよりも薄く切る」だと思いました。断面の大きさにもよるでしょうが、ある程度薄くないと酢飯とのバランスが悪い。

マグロでいうと5ミリ位で僕の好みでしたが、5ミリの薄さに切るのがとても難しくて、さらに5ミリになったり8ミリになったり均一にも切れない。特にトロは脂でネットリしていて難しかった。

寿司

目指すのは「うまい寿司を家で食べる」こと

難しいことはあります。しかし、われわれが目指すのは「うまい寿司を家で食べる」ことで、家で「気軽」にうまい寿司が食べられれば、細かな事は気にしない。完璧でなくてもいいのです。

おいしさは80点を目指して、残り20点は、部屋着で食べる気楽さ、好きなお酒を飲んでいつでも寝られる安心感、そして何よりも「子どもや家族と一緒にうまい寿司が食べられる幸せ」だと私は考えています。

寿司2

この楽しさは、自分の完璧とはほど遠い、技術を補って余りあるほどだと思います。

人生の転機は何度もあり、何かを諦めねばならない事もあるものですが、そこから何かを学んで人生はさらに豊かになっていくと私は思っています。

「家寿司」で、皆さんの人生がさらに豊かになりますように。


筆者紹介


豊洲市場在住 食のプロデューサー
井上 真一

豊洲市場在住 食のプロデューサー 井上 真一

2004年にスタートした豊洲市場ドットコム(旧築地市場ドットコム)。
以来、100年以上続く店舗がひしめくなか、市場の新参者として過ごさせてもらっています。世界中から人と食品が集まる市場の面白さと、「肉食系」の男女が集まる市場で、「雑食系」の私がどう過ごしているかをお伝えしたいと思います。



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