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エネルギーの循環
サステナブルな「バイオダイナミック農法」

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エネルギーの循環<br>サステナブルな「バイオダイナミック農法」の写真

バイオダイナミック農法は、ルドルフ・シュタイナー(*1)が提唱した地球や生物のエネルギーの循環に沿ったサステナブルな農法です。化学肥料や農薬を使わず、太陽の動き、月の満ち欠けや、天体、地球と植物のリズムに合わせて作物を栽培します。今回は、この農法について、有機農家 深瀬雅子さんにうかがいました。

バイオダイナミック農法の4つの特徴

バイオダイナミック農法の4つの特徴

バイオダイナミック農法は単なる技術でなく、地球上で生き物が共存するための方法ともいえます。人工的、化学的ではなく、もともと自然が持つエネルギーを重視し、その可能性を発揮させるので、より地球に優しくサステナブルだといわれます。では、その主な4つの特徴をみていきましょう。

1.化学的なものは一切使わない農法
バイオダイナミック農法では、化学肥料、農薬、除草剤などは一切使いません。微生物と独自の堆肥で土作りをします。


2.地球や月などの天体と植物のリズムなどに合わせた農法
バイオダイナミック農法は、太陽の動きや月の満ち欠けの周期に基づいた「太陰暦」などに基づき、暦を作り、種まきや収穫などを行います。


例えば、満月など定められた時刻に、土に調合剤といわれる自然のものを組み合わせた肥料を入れます。

バイオダイナミック農法の4つの特徴

3.動物との共生をする農法
動物の存在を重視したこの農法は、動物との共生を大事にします。人間中心の考え方でなく、自然と動物、そして人間が共生することを提唱しています。


4.独自の調合剤がある農法
バイオダイナミック農法は、自然界にあるものの効果のもと、独自の調合剤を使い、土のコンディションを整えます。

独自の調合剤は、全部で9種類あります(500~508番)。また、それらを農地にまくときも、独自の暦に沿って農作業が行われます。調合剤の例としては、以下のようなものがあります。


・雌牛の角に牛ふんを詰めて、冬の間、土の中に眠らせます。春に取り出し、土に散布する前に十分に水の中で撹拌(かくはん)させます。作物の根を強化させます。(番号:500)


・雌鹿の角にシリカ(水晶の粉)を入れて作られます。夏に、植物に対して散布されます。(501)


・ノコギリソウを乾燥させ、牡鹿(おじか)の膀胱(ぼうこう)に入れて、一冬寝かし、夏にまきます。分泌器官に呼応して発酵が活発に行われます。植物が硫黄やカリウムを利用するのを促進させる作用があります。(502)


・カモミールの花を牛の腸に詰め、堆肥に少量加えると、堆肥に消化的な働きを与えます。土の中の窒素を安定させ、植物の成長を刺激し、土の生命を増加させます。(503)

深瀬さんが伝える「サステナブルな農業」の本当の意味

深瀬雅子さんが伝える「サステナブルな農業」の本当の意味

さまざまな農法を学び、有機栽培、自然栽培を実践されている深瀬さんも、この農法について興味を持っています。有機農家さんの目から見た、バイオダイナミック農法についてうかがいました。

バイオダイナミック農法は、私が大学生だった時に知りました。
私の印象としては独自の暦(月だけでなく他の惑星も含んだ暦)を使ったり、コンパニオンプランツ(違う種類の野菜を混植することで、病害虫を抑えたり成長を助けること)も利用したり、合理的というよりも、目に見えないものをも大事にする、西洋発祥なのに、ちょっと東洋的なメソッドだなぁと思いました。


その後、大学生の時、wwoof(*2)(willing workers on organicfarm)というwork exchangeを利用して、バイオダイナミック農法をしているコミュニティーに滞在させてもらいました。


英語もほとんどできない学生だったので、あまり理解はできませんでしたが、私の中で一番残っている言葉としては、「すべてはエネルギーの循環である」ということです。

雅子さんのバイオダイナミック農法についての学習ノートより
雅子さんのバイオダイナミック農法についての学習ノートより

エネルギーの循環の範囲は、土の微生物から天体の動きまで、ミクロでありマクロであるのですが、確かに響き合っているのです。


太陽のエネルギーからは光や熱のエネルギーを得て植物が光合成し、水や酸素、私たちの食料である炭水化物を生み出してくれています。そのほかの惑星の宇宙のエネルギーからも引力を得て海の波や揺らぎに変換されています。


微生物が耕した土壌から栄養を根が受け取り、植物が育ち、それを人間が食べるのですが、人間が食べられない牧草などは動物が食べてくれ、別のエネルギー源(肉や乳製品)に変えてくれます。


朽ち果てたものはまた微生物が分解し、土へと戻り、次の糧(かて)、肥料になってゆきます。それは人も、微生物も、植物も、鉱物も、水も、動物も、大地も、大気も、光も、宇宙も…それぞれエネルギーを受け合い循環しているということでした。

植物が育つ時に、自然から受ける影響についても教えていただきました。先日の九州の豪雨災害の際には、自然の猛威とともに、そのありがたさを感じたそうです。

植物を育てているとダイレクトに影響受けるのが、まずは光と熱をうみだす「太陽」です。気温は生育に大きく左右されますし、太陽が出ないと、植物は光合成ができません。


例えば、先日の豪雨で、わが家の野菜もかなり弱ってきています。光合成ができないので、今まで蓄積した炭水化物を消費しながら、置かれた場所でじっと風雨に耐えているのがわかります。


こういった時にひしひしと、太陽の偉大さを感じます。

大雨の影響で水がたまる深瀬さんの畑
大雨の影響で水がたまる深瀬さんの畑

次に影響を受けやすいのは、やはり「月」だと思っています。
月は地球の衛星で一番近い惑星です。太陽のように光や熱を放っておらず、作用は見えにくいですが、近いゆえにその引力はとても強くなります。


自由に形を変えられる「水」がその影響を強く受けており、潮の満ち引き、波がおこるのは月の引力が働いているからです。


ウミガメやカニの産卵が満月に多いことや、人間も満月や新月の時(地球の表面が月の引力を最も受ける時=大潮)に出産が多いのも、私たちが知らず知らずの間に月の引力の影響を受けているといえます。


ちなみに水だけでなく「地」も満月や新月の時、潮の満ち引き同様、1日2回地表面が20cmほど上下しているそうです。

雅子さんが体験されたwwoofの様子も語ってくれました。

雅子さんが大学時代に体験したwwoofでの風景。調合剤500番を掘り出しているところ
雅子さんが大学時代に体験したwwoofでの風景。調合剤500番を掘り出しているところ。

この日は、約2,000本の牛の角を掘り出しました
この日は、約2,000本の牛の角を掘り出しました。

この日は、約2,000本の牛の角を掘り出しました
バケツいっぱいになった500番と袋の中にはからっぽになった角が入っています。これを畑にまきます
バケツいっぱいになった500番と袋の中にはからっぽになった角が入っています。これを畑にまきます。

シュタイナー建築にもよく使われるフローフォームと呼ばれもので上から水を流します。水が上から8の字を描いて一段一段落ちてゆきます。水質浄化や調合剤を混ぜる時にも使ったりします
シュタイナー建築(*3)にもよく使われるフローフォームと呼ばれもので上から水を流します。水が上から8の字を描いて一段一段落ちてゆきます。水質浄化や調合剤を混ぜる時にも使ったりします。

シュタイナー建築にもよく使われるフローフォーム

このような農作業も独自の暦に沿って行われます。wwoofで体験されたこの暦についても話してくれました。

日本の昔の暦(旧暦・太陰太陽暦)は新月を1日、満月を15日とし、農林漁業に根差した暦です。


例えば、昔から以下のようなことが伝えられています。


・2月15日小松菜を播く(まく)。15日に播け(まけ)ばどの月でも育つという(江戸時代、奈良の農書「山本家百姓一切有近道」)

・下弦の月(23日小潮)の時かつての各地の農書に様々な移植すれば多収となる。上弦の月(8日小潮)の時に移植すれば収量が少ない(江戸時代、沖縄の農書「西村外間農書」)


虫が多く発生するタイミングや種まきに向く日、地上部の水分量が少なく木材やイモ類など貯蔵に向く日など、さまざまな記録が残っています。

今でも農家の方々の中には、これらの記述や言い伝え、経験などから、種まき、移植、植物の水分量の調整(成長)や虫の発生を予測してる方が結構いらっしゃいます。

また、マヤ暦の生まれた中南米の農家の見方は、以下のような見方をするそうです。日本の農書とも同じような見方でとても参考になります。


○新月は根に作用し、地上部は水分量が少ない
⇒ 定植、乾燥保存するものの収穫に向く

●満月は地上部に水分量が多く、根に作用しにくい
⇒ みずみずしい野菜の収穫に向く


バイオダイナミック農法には、惑星全体の働きを重視した「種まきカレンダー」というものがあるのですが、種まきカレンダーも「根菜類の種まきはこの日」、「果菜類の種まきはこの日」、といろいろ教えてくれます。


かつてわが家も使っていたのですが、一番に影響受けるのは結局太陽を中心としたお天気でもあり、実はうまくタイミングが合わせることができない日も多かったため、結局現在は種まきカレンダーは使っておらず、ほんの少しだけ旧暦を参考にする程度です。


また、バイオダイナミック農法の種まきカレンダー(日本版)は毎年出版されていて、ネットで買えます。

畑の様子

実際の経験と学びに基づいた、雅子さんの言葉には重みがあります。そして、バイオダイナミック農法の自然のエネルギーを循環させて作物を育てるというところが、今の現代社会がかかえる地球環境の問題を解決する糸口を持っているように思います。

今こそ目を向けたい 未来をつなぐバイオダイナミック農法

今こそ目を向けたい 未来をつなぐバイオダイナミック農法

バイオダイナミック農法で作られた原料を使った製品は身近にもあります。
代表格は、ハーブティーやワイン、化粧品。多くはありませんが、日本でも気をつけて表示や説明を見てみると出会えることがあります。商品を選ぶ時にその商品の背景、原料の栽培方法を確認してみましょう。

最後に、雅子さんがバイオダイナミック農法を体験した農場での思い出を話してくれました。

wwoofで農場に滞在した時は畑作業などが中心だったのですが、朝、放牧している牛の乳しぼりをさせてもらい、チーズを作る手伝いもさせてもらいました。


その牛たちのふんを牛の角に詰めて、冬の間に地中で眠らせ、春に掘りだすお手伝いをしたことも良い思い出です。


冬に宇宙のエネルギーを角にとりこみ、エネルギーが開き始める春先にそれらを掘り上げ、その調合剤(エネルギー)を水に溶き(転写)、畑にまくことで、宇宙のダイナミックなエネルギーを受けた大地は微生物がいきいきと作用し、豊かな畑になるといった感じでした。

今こそ目を向けたい 未来をつなぐバイオダイナミック農法

実際、バイオダイナミック農法を行い、暮らしていくには、課題や準備が多くあります。

しかし「自然界全てのエネルギーの循環」を重視するこの農法は、今まさに、現代社会に必要なヒトが自然や動物と共生し、心地よく暮らすことを尊重しています。 だからこそ、次の世代、未来へ農業をつなげていく可能性を持ったサステナブルな農法といえるでしょう。


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生産者紹介

農園てとて 深瀬 隆治さん、雅子さん

深瀬ご夫婦さん

大分県 由布市の山間部で、農薬や化学肥料をを一切使わず、環境に負荷をかけない、次世代に続く有機農業に取り組んでいます。ご夫婦ともに大学の農学部で学び、南房総市(旧三芳村)で有機農業の研修後、九州で農地を探し、2000年に新規就農。豊富な知識と経験で多品目の有機野菜、米、麦などを栽培しています。固定種、在来種の野菜、種にこだわっています。有機JAS認証農家。古民家を再生し、民泊の受け入れもしています。


*1 ルドルフ・シュタイナーは、20世紀初頭のオーストリアの神秘思想家、哲学者、教育者、建築家など多彩。主にオーストリア、ドイツで活動。『自由の哲学』『ゲーテ的世界観の認識論要綱』などの著作がある。シュタイナー教育でも有名。

*3 シュタイナー建築は、木、漆喰(しっくい)、大理石、テラコッタなどの自然素材を主に使った自由で有機的な造形のデザインの建築。一番有名なのスイスのバーゼルに建てられたゲーテアヌムというホールや図書館を併せ持つ複合施設。

*3 wwoof(ウーフ)(willing workers on organicfarm)とは、世界各国、日本全国で行われている有機農場での学び体験のこと。金銭のやりとりは発生せずに「食事・宿泊場所」、「知識・経験」、「労働力などの力」を交換するコミュニケーションを重視にした活動。農場は登録制。

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そうだ。こだわりは、ごちそうなんだと思う。
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