2020.08.31
エネルギーの循環
サステナブルな「バイオダイナミック農法」

バイオダイナミック農法は、ルドルフ・シュタイナー(*1)が提唱した地球や生物のエネルギーの循環に沿ったサステナブルな農法です。化学肥料や農薬を使わず、太陽の動き、月の満ち欠けや、天体、地球と植物のリズムに合わせて作物を栽培します。今回は、この農法について、有機農家 深瀬雅子さんにうかがいました。
バイオダイナミック農法の4つの特徴

バイオダイナミック農法は単なる技術でなく、地球上で生き物が共存するための方法ともいえます。人工的、化学的ではなく、もともと自然が持つエネルギーを重視し、その可能性を発揮させるので、より地球に優しくサステナブルだといわれます。では、その主な4つの特徴をみていきましょう。
1.化学的なものは一切使わない農法
バイオダイナミック農法では、化学肥料、農薬、除草剤などは一切使いません。微生物と独自の堆肥で土作りをします。
2.地球や月などの天体と植物のリズムなどに合わせた農法
バイオダイナミック農法は、太陽の動きや月の満ち欠けの周期に基づいた「太陰暦」などに基づき、暦を作り、種まきや収穫などを行います。
例えば、満月など定められた時刻に、土に調合剤といわれる自然のものを組み合わせた肥料を入れます。

3.動物との共生をする農法
動物の存在を重視したこの農法は、動物との共生を大事にします。人間中心の考え方でなく、自然と動物、そして人間が共生することを提唱しています。
4.独自の調合剤がある農法
バイオダイナミック農法は、自然界にあるものの効果のもと、独自の調合剤を使い、土のコンディションを整えます。
独自の調合剤は、全部で9種類あります(500~508番)。また、それらを農地にまくときも、独自の暦に沿って農作業が行われます。調合剤の例としては、以下のようなものがあります。
・雌牛の角に牛ふんを詰めて、冬の間、土の中に眠らせます。春に取り出し、土に散布する前に十分に水の中で撹拌(かくはん)させます。作物の根を強化させます。(番号:500)
・雌鹿の角にシリカ(水晶の粉)を入れて作られます。夏に、植物に対して散布されます。(501)
・ノコギリソウを乾燥させ、牡鹿(おじか)の膀胱(ぼうこう)に入れて、一冬寝かし、夏にまきます。分泌器官に呼応して発酵が活発に行われます。植物が硫黄やカリウムを利用するのを促進させる作用があります。(502)
・カモミールの花を牛の腸に詰め、堆肥に少量加えると、堆肥に消化的な働きを与えます。土の中の窒素を安定させ、植物の成長を刺激し、土の生命を増加させます。(503)